長編
□プロローグ
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※半パラレル化
※数年後の世界設定、カヲルくん主人公共に17歳になってます
※主人公とカヲルくんは付き合ってます
カヲルくんが、ある日、自分が死ぬことは運命なのだと言った。
そうしなければ、私たちが死ぬのだと言った。
私は思わず、カヲルくんの頬を左手で思いきり叩いた。
「簡単に死ぬなんて言わないで」
泣きながら怒った私に、「ごめん」と悲しそうに笑った顔を、今も覚えている。
残されたわずかな時間のなか、私とシンジくんは必死になって学び、探して、ついに最後の使徒である、渚カヲルを殺さなくても、人類が共存していける方法を見つけた。
赤木博士の協力のもと、ある特殊な錠剤を開発。
これを服用することによって、渚カヲルの使徒としての力を失わせることができるというものだ。
これには大きなリスクが伴うが、どちらにしても死ぬというのならば、少しでも希望のある方にかける価値はある、と。
始め、カヲルくんは酷く悩んだようだった。
自分がもし生き延びたとして未来に影響はないのか、
自分は、なんのために生きるのか、
生きたいのか、と。
私やシンジくんや、ミサトさんたちも、生きてほしいとは願ったけれど、最後に決めるのはカヲルくんで、彼が最後の決断に至るまで、だれもああしなさいこうしなさいとは言わなかった。
カヲルくんが悩んで、部屋にこもってから三日目、私とカヲルくんは二人きりになった。
まともに寝ていないのか、くまをつくった彼の顔をじっと見つめる。
まだ彼は、ちゃんと目の前に生きている。
でも明日にも、死ぬと言うのかもしれない。
いろんなことを考えては、言葉にならずにいた。