長編
□09redガールズトーク
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日曜日。
前々から約束していた、アスカとのショッピングを終え、たくさんの紙袋を手に近くのカフェへと立ち寄った。
「アスカ、沢山買ったね…」
「アタシが多いんじゃなくてアンタが少なすぎんのよ」
適当に飲み物を注文して、席に座る。
そして当然のように始まるガールズトークは話題に困ることはない。
「アンタが幸せそうで、なにより。言われなくたってその顔見てりゃ分かるわよ。」
「え、顔に出てる?へへ、ありがとうアスカ」
「全く、あの変態のどこが良いのか、私にはサッパリなんだけど…」
はぁ、とため息をついてアイスティーを口に運びつつ、まあでも良かったじゃない、なんて言うアスカは、言葉遣いはともかく、優しいと思う。
なんだかんだ言って私たちのことを一番心配してくれていたのも、アスカだ。
「カヲルくんはかっこいいよ。アスカこそ、シンジくんとは最近どうなのかな?」
「っばか、アタシは別になんにもないわよっ!」
明らかに動揺して口からアイスティーを吹きそうになるアスカ。
加持サンに失恋してから、シンジくんに片想いのアスカは相変わらず強がってばかり、あいつのことなんか好きじゃないわよ、と言いつつ赤面しては照れ隠しの暴言。
「それにアイツ絶対、アタシよりえこひいき…レイのが好きなの。またアタシってば、叶わない片想いしてるってわけね。」
「そんなこと言わない、あと強がらない!アスカは可愛いんだからもっと自信持ちなよ。私はすっごい応援してるよ?」
「いおり…アンタってほんと、良い奴!」
わしゃわしゃ、と私の頭を乱暴に撫でる。
はにかむアスカは、お世辞とかそういうのではなく、本当に可愛いと思う。
「…ありがとう、頑張る。」
「うん!」
「あ、そういえばこの前言ってたCD、貸すわね」
「ほんと!ありがと、私あのグループ好きで…」
話題がコロコロと変わり、恋愛から学校の話、次のテストや流行の服、好きな音楽の話…
話題がつきないどころか、次から次へと溢れてくる。
おもしろい話やちょっと真面目な話。
全部全部アスカとだから話せることだったり、盛り上がれることだったり。
カヲルくんとの時間も大好きだけれど、やっぱり女の子同士の時間も好きだな、と思った。
「あ、やばいこんな時間」
アスカが時計に目をやると、カフェに入ってから数時間が経過していた。
ふと窓の外に目をやると、夕日はビルの谷の向こう側へと沈もうとしている。
「何時間も話してたんだねえ。すごい楽しくて気づかなかった。」
「それは私も。また、暇な日があったら遊びましょ。」
「そうだね、うん、約束。」
じゃあ、また明日学校で。
そういって手を振る。
久しぶりの二人の時間は、ひどく懐かしく感じ、そしてあっという間だった。
明日が楽しみになる、そんな一日が過ごせて良かった。