Late confession

□00
1ページ/4ページ







「…万事休す、かな…」



 前方は男達に塞がれ、後ろは民家の壁。血がしたたる刀の切先を男達に向ける手が、カタカタと震える。

…この男達に屈するわけにはいかない。皆に、メイワクを掛ける事になる。



「(この男達だけは、あたしがケリを)」



――ヒュン!刀が、一閃した。











「……?」



 何の前触れもなく、背中を"何か"が走る。彼―沖田は足を止めて、暮れかけの空に視線を向けた。



「ん?何か有るのか?」

「…何か、今…」

「?」

「……」



 それを見て、少し先で原田が立ち止まる。空に何か有るのかと同じように空を見るものの、気を引くようなモノはない。しかし、沖田は何かを見るような目をしていた。



「…少し、出掛けて来ます」

「は?!何処へ?」

「奏の所。僕の夕食は、ご自由に」

「あちょ、…オイ!」



 原田の制止を聞いているヒマはない。土方にも叱られるだろうが其れを心配するヒマもない…ような、気がした。



「(…奏…?)」



 何故こんなに奏の顔が甦るんだろう?激しい焦りが生まれる。世間はコレを、悪い事が起こる前兆とでも言うだろうか。

 だんだんと、歩く速度が上がる。



「…全く…!」



 何を仕出かしたの?君の事だしイタズラでもしたの?僕のこの焦りは、一体何。

 長く感じる道のりを、ついには走り出していた。




「――奏!!」




 一言も断りなく、奏の家の戸を開けた。



次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ