Late confession
□00
1ページ/4ページ
「…万事休す、かな…」
前方は男達に塞がれ、後ろは民家の壁。血がしたたる刀の切先を男達に向ける手が、カタカタと震える。
…この男達に屈するわけにはいかない。皆に、メイワクを掛ける事になる。
「(この男達だけは、あたしがケリを)」
――ヒュン!刀が、一閃した。
*
「……?」
何の前触れもなく、背中を"何か"が走る。彼―沖田は足を止めて、暮れかけの空に視線を向けた。
「ん?何か有るのか?」
「…何か、今…」
「?」
「……」
それを見て、少し先で原田が立ち止まる。空に何か有るのかと同じように空を見るものの、気を引くようなモノはない。しかし、沖田は何かを見るような目をしていた。
「…少し、出掛けて来ます」
「は?!何処へ?」
「奏の所。僕の夕食は、ご自由に」
「あちょ、…オイ!」
原田の制止を聞いているヒマはない。土方にも叱られるだろうが其れを心配するヒマもない…ような、気がした。
「(…奏…?)」
何故こんなに奏の顔が甦るんだろう?激しい焦りが生まれる。世間はコレを、悪い事が起こる前兆とでも言うだろうか。
だんだんと、歩く速度が上がる。
「…全く…!」
何を仕出かしたの?君の事だしイタズラでもしたの?僕のこの焦りは、一体何。
長く感じる道のりを、ついには走り出していた。
「――奏!!」
一言も断りなく、奏の家の戸を開けた。