Late confession

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 天気が晴れだと、1日を気持ちよくスタート出来るかと思う。学校に着いて友達に「おはよう」と一言かけ合い、朝礼がはじまるまでの間は昨日のテレビの話や行事の話なんかに花が咲く。それからはお昼休みと下校の時間を待ち望みながら授業を受け、バイトがある日はお店に行き、なければ帰るか寄り道かの2択になる。夜はまあ省くとして、学生の大体がこんな過ごし方なんじゃないだろうか。

 少なくとも、あたしはそう"だった"。



「おはよう、奏ちゃん」

「わはあ!!?」




 初めてのメールの「迎えに行くから」の文章がこわくて、辛かったけど早めに登校する事にした。なのにイケメン君―沖田総司はマンションを出たとたん、何処からか忍者のように現れたのである。



「っ遅刻する時間に出るんじゃなかったんですか!?」

「んん?言ったじゃない、迎えに来るって。それと、僕を撒こうとして早く出るなんて典型的な考えバレバレだから」

「……」




 危険な人だと思った。アドレスはとるわ登校時間を予測するわ、これは彼が頭がイイからだろうか。それとも単に悪知恵が働いただけだろうか、どちらにしろ質が悪い。仕方なく登校を共にする事になって、掘り下げるでもない普通の質問に答え続けた。

 こちらから聞きたい事が全くなかったかと言うとウソになるが、ここで訊いてしまえば何だか負けのような気がしたから何も言わなかった。



「は〜。それはまた、ヘンな話ね」

「でしょ?」

「くっ。昨日委員の仕事サボればよかった…」




 沖田君とは学校に着く手前の道で別れて、教室に向かい、席に座って最初に話したのは勿論美里である。美里がランランする程面白い話ではないのだが、傍からしたら…たしかに不可解で面白い話かもしれない。



「(…あ、メール来た)」

『そう言えば、平助と千鶴ちゃんと友達なんだってね』

「(うえ、バレた!)」




 たまに授業中にもメールが来る。そして早々にバレてしまった事実に、しまったと思った。サブアドレスを作って送って来られると困るからメアドは変えて着信は拒否にしようと策を練っていたのだが、この2人経由で通信可能にしてしまわれそうだ。とくに藤堂、沖田にカツアゲ的な事をされて負けるだろう。

 ……本当に、タチが悪い。



「ねえ、今日も来るの?イケメン君」

「ああ…それが、ね。部活が有るから放課後は大体来れないって」

「え!案外、真面目なんだ」

「うん、あたしもビックリした」




 そう、これにはけっこうビックリした。あんなに言っといて部活はサボれないなんて。こちらとしては有り難いが、そこまで彼が好きなスポーツって…何をしているんだろう。



「にしても。好かれちゃったわね、どうするのー?」



 そんな質問に、普通だったら照れの1つでも覚えるものだろうけどそうもいかなかった。覚えるのは、疑問だらけだ。

 …好かれてる、のだろうか。どうしてって、沖田は「約束を果たしてくれるか」と言った。つまり約束を目当てにして来ている。その約束と言うのはどんな状況でどんな意味でどんな気持ちで第一"いつ"作られたのかは知らないけど、その約束が重要なのである。彼の事を好きかと聞かれるとそれ以前の問題だし、つまる所、全部オカシイのだ。




「どうしようかなぁ」




 ――ホント。



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