Late confession

□05
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高2となるとまわりの女子は1年のころより進化する。進化と言うのは、別に内面的ではなく…外見的と言った方が正しいか。クラスのある女子は目の周りを黒くしたり、ある女子は制服を着崩したり。普通にしてた方がカワイイのにとかんじる子すらそんな事をしているのを見たら、色々ショックを受けたモノである。



「化粧の仕方、おしえて!」

「……は?」


 けど、今はその気持ちが分かるような気がした。

 前置きもせず拝みながら言うと、美里はポカンと固まった。それも仕方ない。早くに手を付けると肌荒れするらしいからと避け続けていた化粧にイキなり興味を示したのだから。どうして?と訊ねられて黙っておくわけにもいかず、正直に話す事にした。


「――そーゆう事ね。一君って、第2のイケメンでしょ?昨日の」

「まあ」

「奏が一丁前にデートなんて!わたしは不安だわ。付き添おうか?」

「…アンタの目的は一君でしょうが」

「エヘヘ♪」


 否定しないんかい。しかしデートと言われてそうなるのかと今更ながら考える。斎藤に多分その気はない。男女が出掛ける事になると何故「デート」と呼ばれてしまうんだろう。


「ま〜、それなら力にならないわけにはいかないか。ん〜…」


 引くほどはないがそれなりに化粧をしている美里は鞄の中からポーチを出して、ファンデーションを手にとった。すっと近付かれて、身がまえてしまう。


「…この色が合うかを見るだけだから、肩の力抜きなさーい」

「は、はい…」


 遠い存在だったモノが、目の前に迫る。独特のワクワクに胸を弾ませながら、頬に当たるスポンジの動きが止まるのを待った。

 昼休みは元気な男子が後ろを走り抜ける。話した事はない子達だし大丈夫だとは分かってても、化粧してると声を掛けられてしまうんじゃないかと内心そわそわした。自意識過剰もいい所だ。


「その一君、真面目な子なのよね?」

「真面目。すごく真面目」

「ならナチュナルにした方がいいか…」


 それこそ、学校に化粧をして来る女子を良く思わないだろう。だから逆にしない方がいいかと思ったが、普通の日だし身だしなみくらいには…。


「…てかさ、おもったんだけど」


 何?と目で先を促す。


「沖田君と会う前に、好きな人が居るかどうかの話したじゃない?奏は居るような反応したけどさ」

「ん?ん」

「まさかあれ、一君のコト?」

「……へ?」


 そわそわした気分が、一気にきえた。

 沖田君に遭う前?…ああたしかにそんな話をしてたっけ。たしかそう、何時から好きな人が居ないのかと聞かれたんじゃなかったか。それで、なんて答えを出したんだろう、自分は。


「一君ならドラマチックよねぇ!2年ごしなぁんて♪」


 1人で勝手にさわぐ美里を余所に、その時の事を必死に甦らせる。答えは喉まで出掛かっているが完全には出て来ない。ファンデーション付け立てなのにも関わらず頬杖し、うーんと口を引き結ぶ。

 ――違う、な。


「あ!それなら沖田君はどうなるの?」

「……」


 出て来ないと言うより、出したくないの方がしっくりする気がした。



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