SS
□Good summar
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「一君」
「……」
「一君!」
「………」
目の前に回る、避けられる。
…目の前に回る、避けられる。
あくまで真面目にしている事だが、傍から見るとオカシく見える事だろう。どうしてか、先程から斎藤が向い合う事を嫌がるので、何かしたかと心配になった。
「なあ、まだ来ないの?」
「……ヘースケ君」
「俺に構うな、先にいけ」
「「………」」
さてどうしたもんかと困った所に、一足先に泳いだらしい藤堂が、待ち草臥れて戻って来た。でもすぐ突き離されて、しんと静まり返る。
「…急にどうしたんだよ?一君。ここまで来て…」
「……遅れて、向う」
「………」
――私、何かした?
そんな不安は一層濃くなる。何故かと言うと、今斎藤は、藤堂の目を見て話が出来ている。向い合う事をあんなに避けていたのに…こんなに差を付けられてしまうと、気分は沈んだ。
「照れてるんだよ、一君」
「へ?」
「っ総司…!」
「君の水着姿が、カワイイから」
と。急に後ろから首に腕が回って、クスクス笑う声が耳元で聞こえた。その声の主―沖田の言葉に斎藤は声を荒くしたけど、どういう事?と呆気にとられているのに気付くと唇を引き結び、目を逸らす。
「(……え。ホントに?)」
「ナルホドなー!」
「照れ屋だからね、一君は」
「何をっ…、………」
――ホント、なのか。
「……一君!」
「!」
そうと解ると居たたまれなくて、勝手に体はうごき出す。沖田の腕を放れて斎藤の前に回った。でもすぐそっぽを向かれそうになったので手を握ると、ピタリと止まって、漸く目が合った。
「一君は、凄く、カッコイイよ」
「………」
――嬉しい、夏の出来事。
good summer
(あはははは!一君のカオ、赤っ!)(!)(珍しい写真がとれたね)