Late confession

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「近藤さん、こっちは終わりましたよ」

「もうか?いやあ、本当に助かる」


 近藤さんに呼ばれて学校の多目的教室に来た時。ただ道具が詰まれているだけで、明日がパーティだという状況にはとても見えなかった。

 ほぼ1年生だけでは勝手が分からなかったんだろう。手伝うとサクサクと準備は進んで行き、パーティをする場所という形になってきた。近藤さんも嬉しそうで、つられて自分も嬉しくなる。


「それにしても…本当に気合い入ってますね。ビンゴまでやるんですか?」

「ああ、パーティと言ったらやるだろう。景品も奮発したから、楽しみにするといい」

「あっはは」


 生徒よりパーティを楽しみにしている校長先生とは、おかしなものだ。


「…お。総司、そろそろ腹が空かんか」

「え?」

「弁当を買ってあるんだ。一段落した事だし、皆で昼食にしよう」


 その言葉につられて教室の時計を見てみると、いつの間にかもう12時を過ぎていた。はっと息を呑んだ一方で、他の部員達はメシだと喜びはじめる。


「待っていてくれ、今持ってくる」


 手伝いましょうか。そう言う間もなく、近藤さんは教室を出て行った。

 休憩モードになった空間。つかれたなーなんて声を受けながら、天気予報の通り雪が降っている外を眺める。…あれからもう、2時間が経ってしまったんだ。

 本当なら今ごろ、遊園地を回っていた事だろう。でも天気がこの調子じゃ、乗りものも運行停止になるだろうから、次の機会に持ちこして良かったかも知れない。はーっと息を吐くと、窓が白く曇った。



「っだー!重てえ、やっと着いたー!」



 と、ガラリとドアが開く。


「お疲れさま、平助君」

「男がそれぐらいでグダグダ言うな」

「お、すっかり飾ってんなー」

「ったく、張りきり過ぎだろ…」


 そして入って来たのは、たくさん袋を抱えた平助と。逆に2つしか抱えてない千鶴ちゃんと新八先生に左之先生、あと土方先生だった。皆うっすらと頭に雪を積もらせている上に、鼻も赤くなっていて寒そうだ。


「おかえりなさい」


 からかってやろうと思った。軽いノリで声を掛けると、何故かしんと不自然な間が出来る。え?とこちらが怯んでたら次の瞬間、茫然とした平助達の視線が集まった。


「……総、司」

「?どうし――」

「お前……何で、ここに居るんだよ?」

「……え?」


 とても、ただいまと返される雰囲気ではない。


「お前……お前、デートは!?」


 平助は袋を全部手放して、かけ寄ってくる。その表情と口調があまりにも必死で、雑談をしている部員もだまった。

 だが、平助がそうなってしまうのも納得する。今日がデートの日だと話していた本人がここに居たら、誰でも驚くだろう。


「近藤さんから、手伝ってくれないかって言われちゃってさ」

「は…?」

「大丈夫。奏にはメールしてるよ」

「…メールって、いつ?」

「んー…10時前、かな」

「ウソ吐いてんじゃねーよ!」


 すると、間髪入れず怒鳴られる。さすがにムッときて言い返そうとしたが、信じられない言葉で遮られた。



「奏、公園で待ってたぞ!!」



 ――……は?



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