Late confession

□20
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「たく、時間食われちまった…」


 課題の未提出が続き、補修を請けさせざるおえなくなった生徒達の面倒…基見張りが済んだ土方は。すでに剣道部の活気で溢れている体育館に、足をふみ入れた。

 イイカンジに大会を勝ち上がっているから、一段と昂る皆の気合いが目に見える。よしよしとそれを見回していたらフと、気になる姿を見付けた。部員達を見ながら、じーっと何事か考え込む彼…近藤校長。近くに行って「近藤さん?」と呼び掛けたが反応は無く、2度目は少し強めに呼んでみると派手におどろかれた。


「!!あ、ああ、トシか。いつから居たんだ?」

「今だよ。呼んだだろうが」

「何?それはすまんな」

「…気になる事でもあるのか?」

「……」


 近藤さんは小さく頷き、アレだと目で示す。それが何なのか検討が付きながらも従うと、1人で素振りをしている総司が居た。聞くまでもないが、アレがどうしたとあえて訊ねる。


「最近、おかしくはないか?」

「…そうかぁ?いつも通り、負けナシの好調だろ」

「いや、そう言う事ではなくてだな…。元気が無い、と言うか…」


 ――ま、そうだろうな。



「…香月君の話も、出てこない」



 その哀しそうな声音は、原因を知っている側からしてみると若干の苛立ちを与えた。決して「アンタが原因だよ」と言う事ではないが、原因の一部とはなっているのだから少々タチが悪い。話し合ったわけでもなく、今回の事は近藤さんには話さない事が決まったのだが。本当に、それでいいのだろうか?

 原因だからこそ、知るべきではないか?


「少し前まではたくさん話してくれていたのに、何故だろうな。…トシ、藤堂君達は何か知らないだろうか」

「……」

「だが待てよ、私が手を出して許されるのか?彼等は彼等の中で解決していくべき事もあるかもしれんし…」

「……」

「…しかし、」

「近藤さん」

「!ん?何だ」

「…知りてえか。総司が、浮かねえわけを」


 何で話したんだと、文句を言われてしまうに違いない。でもだまったままだと近藤さんも浮かないカオが続くだろうし。もしこのままの日々が流れていつかこの事を知った時、近藤さんはとてつもなく自分を責め立てる筈だ。近藤さんはきょとんとして「知って、いるのか」と聞き返してきたので、ああと頷く。それからガッと肩に手を置かれるまでは速く、たのむと言われて困ったように笑って見せた。







promise:20


「、何…?!」


 話しおえると、近藤さんは何度も「それは本当か?本当の話なのか?」とたしかめて来た。何度も何度も本当だと肯定しても信じて貰うには時間が掛かって、無言で頭を抱えるようすを見詰める。

 何て事だ、私が…。たまに聞こえる呟きは常に自分を責めており、こうなると予想した通りで笑ってしまう。なんて言ってもデートよりパーティを選んだ総司に非はあるのだが、近藤さんは自分の事のように深く深くダメージを受けていた。


「それで、2人は今、ケンカを?」

「ケンカで保たれてんならいいがな」

「……」


 …原田達の話では、どうも宜しくない展開にあるらしい。簡単に済まされるものではないから仕方無いが。総司は何処か遠くを見て、いつの間にか手が止まっている。


「……トシ」

「?」

「すまんが――」



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