きみと未来へ -The Peaceful World-

□dialogue
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さぁ、これでおしまいだよ。

終わりまでもう少しだよ。














だから。









 また、いっしょにいようね




























「・・・・眠い? ジェンヌ」
「う、ん・・・」


さらり、と長い髪が揺れる音。
夕日が差し込む廊下を一人分の足音が、ゆっくり、ゆっくりと歩いていく。


「と、むは・・・?」
「さすがに僕も、眠いなぁ」
「そ、か・・・・・・」
「うん」


上等な黒い革靴は軽やかに、落ち着いた赤のカーペットを進んでいっている。


「・・・・・・・・・・・・いっしょ、に」


声はふたつ。


「うん?」


眠たげな少女の声と明るく甘い青年の声。


「い、しょに、ねよ?」
「・・・そうだね。一緒に眠ろうね」
「ん」


さらり、と長い髪が揺れる音がする。
夕日が上等な黒い革靴に差し掛かった。
コツリ、と足音が止まる。


「ねぇ、ジェンヌ?」
「・・・・・う、ん」
「・・・・・・君は、」


青年の声が言いよどむ。
布のこすれる音がして、夜の気配が近づく空気の中に彼は立ちすくんだ。


「・・・怖く、ない?」
「・・・・・・トムと、いっしょ、だもの、」


ふと、眠たげだった声の調子が変化する。


「このさきだって、ずっと、ずぅっと、いっしょ・・・、でしょう?」


く、と誰かののどが鳴った。
今にも笑い出しそうに。
今にも泣きだしそうに。


「そうだね」
「う、ん」
「ねぇジェンヌ」
「なぁ、に?」
「あのね・・・      」



―――――
――――――――





++*++++*++++*++++*++++*++++*++






















たとえば君の未来が、揺るぐことなく茨の生い茂る野の道であると決まっていたって、




そんなことどうでもいいの。


そんなこと、どうでもよかったの。


















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