拾われた少年

□偶然的必然的出逢い
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久しぶり人の温もりを感じた

いままで暗くて冷たくて光のない場所にいたから。

暖かい…

涙が止まらなく溢れ出す…




『樹君はとても綺麗だね…こっち…おいで』

『…はい』

脂肪の塊のような体に抱きしめられキスされて組敷かれる。

…いやだっ!





「いやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


喉が張り裂けんばかりの悲鳴を上げた。


「いやだぁ!許して!触らないで!ごめんなさいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」


「樹っ!!!!」

頭の中がぐちゃぐちゃになって怖くて…怖くて…怖くて…

怖くてたまらない…


「樹っ!!!!」

バシンッ


「……あ」

平手で思い切り打たれ、目を覚ました。


「樹…大丈夫か?」

荻さん息を荒くしながら俺の肩を掴んでいる。

「…俺…」

目から絶え間なく涙が溢れだしていた、腕や顔に沢山の引っ掻き傷が出来ている。

「寝ていると思ったらいきなり泣き出して、触ったら叫んで暴れ出して…」

「…すみません…」

「謝らなくてもいい」

荻さんが俺の肩を掴んでいることに気が付いた。

「…やっ!」

小さな悲鳴を上げて荻さんの体を突き放す。

「…樹?」

荻さんの体から離れてシーツにくるまった。

「…触ら…ないで…」

「樹…?」

「俺は…汚い…だから…触らないで…」

沢山の男に抱かれ汚されたこの体

荻さんは優しい…


始めて会ってまもないのに、確信がある…

荻さんは優しい…


縮こまっている俺の上に乗っかって荻さんはうしろから抱きしめて来た。

「うっ…ひっく…うぇぇ…」

しゃくり上げながらひたすら泣き出してしまった。

「大丈夫だから…泣くな…俺が…樹を守ってやる…」


「…荻さっ…おっ…ひっく…荻さん…」

「俺がお前を守ってやるから、絶対に何があってもだ」



「うぇぇ…荻さんっ…荻さん!」












何も言うつもりはなかった

ただ…可哀想だったから…

こんな所に置いて行っては行けないと、だから連れて来た。

…それだけだったのに


『俺がお前を守ってやるから、絶対に何があってもだ』

なぜそう言ったのか自分でもよく分からない…

ただ、純粋に思ったんだ…


絶対に離さない…


何が合ってもこいつを守ってやる…と
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