拾われた少年

□偶然的必然的出逢い
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部屋に入ってきた青年は呆然と部屋の中を見ている。

「…なに、やってんだよ…」

視界は涙でぐちゃぐちゃになってよく見えない、でもそこに誰かがいることは分かった。

動かない体を少し動かして誰か入ってきた扉に向け。

瞬間青年と目が合う。

俺はかすれた声で泣きながら言った。




「…たす…け…」




そう言った瞬間青年は凄い勢いでこちらに走って来たかと思うと老人から俺の体を引き離した。

そのまま青年に抱き上げると、青年は大きな声で怒鳴った。


「てめぇら!なにやってんだ!!」



そのあと俺の顔を覗き込み大きな声で

「おい!大丈夫か!?しっかりしろ!!」


何か言おうとすると涙が溢れるばかりでろくに話せない。

「君も混ざりますか?」

笑いながらそう言ったのは功さんだった。

青年は功さんを思い切り睨み付ける。

「ざけんな、こんなチビ苛めるような悪趣味持ってねーよ」

「それはSM専門ではないですよ、素晴らしい名器の持ち主です、一回入れてみなさい、はまりますよ」

体がビクッと震えたのが解る。


「こいつは連れて帰る」

青年がそう言うと功さんは舌打ちした。

「全く、損害賠償払って貰うからなクソじじい」

功さんは老人に言った、青年は扉に向かって早足で歩き出す。

「それは俺達の商品だ必ず返して貰うからな」


後ろから功さんが言った、青年は功さんをまた睨み付け。


「誰がてめぇらなんかに返すかこの、気ちがい」


そう言って部屋の扉を足で閉めた。


「もう、大丈夫だからな」

そう言って優しく笑った、こんな優しい笑顔始めてみた。



俺はゆっくりと意識を飛ばした。
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