拾われた少年

□かえっておいで
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「鳥子君痩せた?」

「…え?」

突然常連客の小澤さんにそう言われ目を丸くした。

「…そう、ですか…?」

「前から結構痩せてだけど最近もっと痩せてきてない?ご飯食べてる?」

「…ほどほどに…」

「本当…?」

「…まぁ…」





本当の所最近あまりご飯を食べていない腹より少し上の辺りが痛くて食べられない。



…キリ…



「…痛た…」




傷んだ所を強く押した、そして飲み物を取りに席を立つ。

「小澤さんシャンパン持ってきまっ!」


「鳥子君っ!」

腹の上にズギンと激痛が走った、痛すぎて抑えたままその場に座り込んでしまった。



「いってぇ…」

「鳥君大丈夫っ!」

俺は呻き声を上げた、ヒロ君の声を聞きながら意識を飛ばした。
















「鳥君っ!鳥君っ!」



「…ヒロ君…?」


ゆっくり目を開けるとヒロ君の顔が視界に飛び込んで来た。

「鳥君大丈夫?お店でいきなりお腹痛いって言って倒れちゃって、みんな心配してたよ、どっか痛いの?」

「…お腹の少し上…ここら辺…」

そう言って痛い場所を撫でるとヒロ君は目を丸くしたあと ちょっと待ってて と言って部屋から出ていった。




少し経つとヒロ君は瓶と水を持って戻ってきた、 そして俺の横に腰を下ろし瓶の中から錠剤を3粒取り出した。

「はい、飲んで」

「なにこれ?」

そう訪ねるとヒロ君は水を渡して来た。

「胃薬だよ、お腹の上は胃だからね胃薬飲んだら直るよ」

「うん、よくわかんないけどありがと」

そう言って胃薬を水で流し込んだ。

「どうする寝てる?」

「さっきよりだいぶいいし出るよ」

「了解!無理しないでね」

「…うん」

そう答えるとヒロ君はゆっくりと俺に抱き付いてきた。

「…鳥君は…絶対に後悔するような恋しないでね…」

「…?」

ヒロ君はそっと離れるとふわりと微笑んだ。












「大好きだよ鳥君僕らはずっと友達だ」












「…ありがとう…」
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