毛探偵(1)

□僕だけの君 *
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「…っ、遥…さん…!あの…」

「ごめん弥太郎…。僕の体力がもう持たないから…、挿れるよ…?」

「…っ…!!ンッ…!く、ぅ…!」

まだ全然慣らしていない其処に、少しずつ自身を埋めていく。
経験のない弥太郎は当然苦痛に顔を歪ませて、逃げるように身を必死に捩っていた。

ああ…。その痛がる表情もすごく好きだ。可愛くて、もっと見ていたくなる。

「はっ…ぁ…!はっ…!」

「はぁっ…、弥太郎、痛い?血が出てきてるけど…」

「んっ…ぅぅ…!あっ…ァァ…!は…るか…さんッ…!」

ギチギチにキツい状態なのも関わらず腰をゆっくりと動かしてみると、弥太郎の中から血が滲み出ているのが見えた。

初めてだから血が出るのも当然だよね。だけど、弥太郎の初めては聡明さんじゃなくて僕が奪ったんだ。


その事実が嬉しくて堪らない…!


「ああっ…!うぐっ…、ぁぁぁっ…」

「弥太郎、力抜きなよっ…、そしたら少しはマシになるよ…?」

「はぁっ…、はぁっ…!できま…せんっ…!んんっ…」

普段から何事も器用にこなす弥太郎でも、流石にこの状況では力を抜く事は出来ないみたいだ。
それ程に挿れられる側に大きな負担が掛かっているという訳だ。

流石の僕でも、多少の罪悪感は感じる。少しでも気持ち良くして力を抜かせてやらないと。

服の釦を外して、白い肌を露にさせた。そしてピン、と尖っている乳首に舌を這わせる。

「ん、ぅぅ…!」

その時、弥太郎の身体はビクン、と大きく跳ね上がった。


ふーん、男でも乳首って感じるモンなんだ。


その事に多少の興味が湧き、軽く歯を立てながら舌で転がすように其処を執拗に舐めた。


「ふっ…ぁ…、遥…さん、待って下さっ…!」

弥太郎は必死に首を左右に振って嫌がるけど、僕はやめなかった。

もう片方の手で捏ねるみたいに乳首を弄り、ちゅ、と吸い付く。

「ひっ、ぁぁ…!やっ、ぁ…!」

「弥太郎…。ちょっとは気持ち良くなったでしょ?中も柔らかくなってきたし」

「はぁっ…、はっ…ぁ!」

胸に刺激を与える度に、中が柔らかくなってくるのが直で分かる。さっき以上に動きやすくなったしね。


だけどその時、懇願でもするように弥太郎は震えた声で訴えかけた。


「はるか…さん、も…ぅ…これ以上はっ…、やめて…くださいっ…」


「……!」


普段は感情を表に出さない弥太郎の表情が、幼い子供みたいな顔になり、拒みながら泣いていた。

まだ僕の事を拒むんだ。弥太郎にとっては僕なんかより聡明さんの方がずっとずっと大切なんだ。


「……ッ」


ギリ、と歯ぎしりをして唐突に激しく腰を動かした。

「ふっ…ぁぁ…!?…は、るか…さっ…!」

「黙りなよ…!いつもお前は聡明さんの事ばかり…!いい加減鬱陶しいんだよっ…!!」

「んっ…ぁぁ…!ふっ…ぅっ…!ああ…!ぁッ…」


無我夢中で弥太郎の中を激しく打ち付ける。肉壁がぶつかる音が部屋中に響き、感覚が狂いそうになる。


どうして?何で弥太郎も、にーにも、自分に傷を付ける相手の方をずっとずっと大切に思う訳?
にーにはいつも荻野のせいで色んな事件に巻き込まれているし、弥太郎なんか、何度も聡明さんに好き勝手に身体を使われて、酷い怪我をさせられたか…!


あの人のせいで体調を崩した事もあったし、見捨てられた事さえもあった…!


それなのにどうして…!弥太郎は聡明さんの事しか見ないんだ。あの人に対して何処までも従順なんだ…!


僕の方が、ずっと大切にしてあげれるのにッ……――!


「……どうしたら…!」

「はぁっ…、はぁっ…!…遥…さん…?」

「どうしたら弥太郎は、僕の事を見てくれる訳…?」

「――……」

止めどなく涙が溢れてくる。弥太郎は戸惑いと共に呆然と僕を見つめていたが、次第にその表情が曇っていく。

何をどう言えば良いのか分からないみたいだ。
だけど何か意を決したように僕の頬にそっと触れて、優しく触れた。

「……僕は、貴方の事も見ていますよ…」

「……何処が…!いつもいつも聡明さんの事ばっかじゃないか…!」

「……、確かに僕は…、聡明さんの事を大切に想っています…。だけど、貴方の事も大切に想っているつもりです…!」

優しく撫でていた手はそっと離れていき、拘束された手でぎゅ、と僕の手を握る。そして真剣な表情で力強く僕を見つめた。

「僕は、貴方の手足です。だから遥さんが何かを望むなら、僕は何だってしますし、貴方が本当に僕を抱きたいと言うなら……もう抵抗もしません…!」

「弥太郎…」

「……だからっ…」

馬鹿みたいに身体が震えている。本当は怖いんだ。怖くて仕方がないんだ。
それなのに、僕があんな事を言ったから弥太郎は…。

「……っ」

すがり付くように弥太郎の身体を強く、強く抱き締めて、肩に顔を埋めた。

そして震える声でポツリと呟くように言う。

「だったら…、僕だけに身体を許してよ…。僕だけに…、お前を抱かせて…?」

どうせ弥太郎の心は全て聡明さんが奪っているんだ。だったらせめて身体だけは、弥太郎を独占しておきたい。


聡明さんだけには、絶対に奪われたくない…!


「……はい。分かりました…」

弥太郎はこくん、と頷いて全てを任せるように目を閉じた。
そして耳元でボソボソと囁かれる。


「遥さん以外の相手には絶対に、身体を許したりしません…」

「……!」


その言葉は弥太郎の本心じゃないのは分かっている。あくまでも主人の命令を従順に従う臣下としての言葉に過ぎない。


でも、それでも構わない。弥太郎が手に入るなら、もう何だって良い。


「弥太郎…、好きだ…!」

「んんっ、んぁ…!」

「ずっと君だけを、愛している…!」

「遥…、さっ…ん…!ああっ…!んっ、んん…!」


何度も貪るようなキスを交わして、奥へ、奥へと弥太郎の中を突き上げた。


「ああっ…!あっ…、ぁぁっ…」

「はっ、ぁ…!はぁっ…!」

「んんっ…!ひっ、ぁ…!はっ…ァァ…!」


中がぐちゃぐちゃになるまで弥太郎の敏感な所に刺激を与えて、ピストンのように激しく突くと弥太郎の足はガクガクと笑う。


「もう…、イキなよ…、はぁっ、はぁっ…!限界…でしょ…?」

「ふっ…、ぁぁっ…!あああ、んん…!あぁぁっ…!」


腰が大きく仰け反って、弥太郎は二度目の絶頂を迎えた。

「はぁっ…、はぁっ…!ッ…!」

そして僕も奥深くへと己の欲を注ぎ込み、絶頂を迎えた。

「はぁっ…、は…ぁ…!はっ…」

酸素を取り入れるように必死に呼吸を繰り返してぐったりとしている大きな身体に抱き着き、僕は自虐的に微笑んだ。


本当は最低な事をしているのは分かっている。そんな事をしたって、弥太郎の心は決して僕の方に振り向いてくれないのも十分に理解出来ている。


だけど、これしか誰かを愛する方法が分からないんだ。縛り付ける事しか僕には出来ない。


だから…――。


「絶対に逃がしてあげないからね?弥太郎…」


-end-

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