毛探偵(1)

□日だまりの中で
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何だか、すごく暖かい気がする。まるで誰かに抱きすくめられているような感覚…。

ぼんやりとしながら目を開けると、間近で聡明さんの優しい笑顔が見れた。

「……聡明…さん…?」

「お、やっと起きたか。おはよう弥太郎」

「……おはよう…ございます…?」

まだ意識がハッキリと覚醒していない。ぼーっとしながら聡明さんを見つめていると、唐突に彼の顔が更に近付いた。

「なんだ、まだ寝惚けているのか?」

「へ……?」

「んな可愛い顔を見せんなよ。ちゅーしたくなる」

「んっ……!?」

軽いリップ音と共に互いの唇が重なる。いきなりの事だったから目を大きく見開かして硬直してしまう。
その時、不意に下唇をペロリと舐められた。

その瞬間、自分の意識はハッキリと覚醒して、咄嗟に聡明さんから離れた。

「そ、聡明…、さん…!?」

「お、ようやく目を覚ましたか?」

「あ…と、は、はい…!」

顔を真っ赤にしてコクコクと頷く。聡明さんは優しい表情のまま、そっかそっかと言って僕の頭をポンポン撫でる。

「……っ」

撫でられた所がすごく熱くなったような気がする。
顔が更に赤く染まり、聡明さんに見られないように深く俯かせる。

「てか、弥太郎が昼寝をするなんて珍しいよな。そんなに疲れ溜まっていたのか?」

「あ…」

聡明さんの言葉を聞いて、ようやく思い出した。

そうだ。さっきまで僕、昼寝をしていたんだった。あまりにも日の光が暖かくてついうとうとしてしまった。

いくら今日が休みだからといって気を緩み過ぎだ。バツの悪い表情をして、深々と頭を下げる。

「す、すみません…!気を緩ませ過ぎました…!」

「いや、別に謝る事でもねぇから気にするなよ。てか、弥太郎の寝顔を見れて俺は満足だし!」

「寝顔…、ですか…?」

僕の寝顔を見ても何も楽しめないと思うけど…。
そう思いながら首を傾げていると、そっと利き手で顎を掴まれて上向かされる。

「だってよ、弥太郎の寝顔って…、すげぇ可愛いからさ」

「…!?」

自分の唇に聡明さんの甘い吐息が掛かり、思わず身体は硬直してしまう。


どうしよう…!聡明さんの顔がすごく近くて…、直視するのが恥ずかしくなる。


額から変な汗をかいて、目線をオロオロと泳がせる。すると聡明さんは、ぶはっ!と吹き出し、お腹を押さえて可笑しそうに笑い出す。

「そ、聡明さん…?」

「お前…!顔を真っ赤にしすぎっ。クククッ…!本当に可愛い奴だよなぁ、弥太郎は!」

「えっ…、あ…!えっと…!」

"可愛い"なんて言われてもどう返事をすれば良いのかまるで分からない。あわあわと動揺を露にして、必死に言葉を探していた時、グイッと聡明さんの方に引き寄せられた。

「そ、聡明…さん…!?」

今僕は、聡明さんの腕の中にすっぽりと収まっている。ドキドキと胸を高鳴らせて身体を強張らせていると、そっと優しく髪を撫でられた。

「本当に、弥太郎を見てるとやべぇわ。すげぇ可愛がり倒したくなる」

「へ…、っ…!?」

グイッと顔を上向かされ、再び唇を奪われる。
瞼をギュッと閉じて必死に聡明さんのキスを受け入れている時だった、彼の舌がそっと口内に滑り込んでくる。

「ふっ…、んん…」

厭らしい水音と共に互いの舌が絡まる。互いの唇から唾液が糸のように絡まり、それだけでドキドキが最高潮に達する。
呼吸さえも上手く出来なくなる。

「んんっ…、ん、ぅ…」

「弥太郎、口じゃなくて、鼻で息をするんだよ」

「はな…で…? んぅ…、ふっ…」

キスの合間に呼吸の仕方を教えてくれたと思ったら、また深く唇を塞がれる。

「んー…、ん、んぅっ…」

普段では絶対に出さない甘ったるい声を漏らしながら、鼻から必死に息を吸うと、ほんの少しだけ呼吸が楽になった。
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