ちいさな恋

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再会したのは、迷子中





「セーラー服は楽でいいわね」


真新しい制服、少しドキドキする


「タイよし、髪よし、忘れ物もなし」


新生活

正直、私は不安より期待の方が大きかった


「行ってきます」


──────────────────…


「教室どこかしら…?」


着くのが早すぎたのか、はたまた遅すぎたのか

恐らく前者だとは思うのだけど、
そのせいか誰も居なくて、教室がどこかわからない


「ええと…」


ガラッ、突然目の前の扉が開いた


「あ…受験の時の」
「…ああ」


再会したのは迷子中、
君はいきなり目の前に現れた


「あのときはありがとう、
助かったわ」
「いや
…もしかしてアンタ教室探してる?」
「うん、そうなの
迷っちゃって…」
「この学校やけに広いからな
こっちだ」
「ありがとう
お世話になりっぱなしね」
「別に」
「志村妙っていうの、よろしくね」
「土方十四郎だ、よろしく」


無愛想な彼、でも嫌な感じはしない


不安はすっかり消えて、
期待と幸せに胸が満ちる

ドキドキする胸


素敵な予感がした


「あ、私A組だ」
「俺と同じか」
「すごい、運命を感じるわね」
「からかうなよ」
「ふふ」


教室に入ると、
既にクラスの半数くらいの人が居た

土方くんは自分の席に座る


私は座席表を見て自分の名前を探す

…あら、


「どうかしたのか?」
「私の席、ここなの」
「は」
「ふふ、本当に運命かもね」


席は隣、何てベタなのかしら

少しだけ唖然としてる彼

私は何故だか自然と笑みがこぼれた


「何だか楽しい一年になりそう」
「よかったな」
「まあ、冷たいのね

改めまして、これからよろしくね、
土方くん」
「ああよろしく、志村」


そして始まった学園生活


つづく

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