×また子受け

□天の邪鬼
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「また子、何怒ってるでござるか?」
「怒ってないッス」
「はぁ…」


別に、怒ってないもん


天の邪鬼


今日は万斉の誕生日

彼氏の誕生日だし、
プレゼントとか、あれこれ考えてた

喜んでくれるか不安だったけど、

万斉は優しいからきっと喜んでくれる

そう思うと自然と頬が緩んだ

音楽室に向かう足取りは、やけに軽い


それなのに、


「万斉先輩って格好いいよね!!」


その声に、思わず足を止めた


「うん!
あの声、耳元で囁かれたい//」
「今日誕生日みたいだから、
頑張ってクッキー作ってきちゃった♪」
「すごーい!ギター型だ!!」


きゃいきゃいと騒ぐ女子達

そこに、タイミングが良いのか悪いのか、万斉が現れる


「あのっ、万斉先輩っ//」
「む?」
「これ…
今日、誕生日だと聞いて…
作ってきたんです」
「拙者に?」
「はいっ///」


嬉しそうに受け取る万斉

居たたまれなくて、私は逃げ出した

──…けど、元々約束していたため、
現在二人でカラオケに居る


「──…、こ、また子」
「わぁっ!?」
「何に怒ってるかくらい教えてくれぬか」
「別に怒ってないッス!!」
「嘘…」
「クッキー、美味しかったッスか」
「クッキー?
……ああ」


嬉しそうに万斉の口が弧を描く


「嫉妬でござるか」
「違っ…」
「美味しかったでござるよ、中々に」
「なっ…
だったら、あの子達と…」
「でもまた子じゃないと意味がない」


ぎゅうっと抱き締められ、
何も言えない

あ、そうだ、と万斉はギターを取り出す


「新曲、聞いてくれぬか?」
「カラオケで生演奏ッスか」
「防音の有効活用でござる」
「何スかそれ」


自分でも単純だと思う

だけど、事実私はこの馬鹿に惚れてる訳で


「───…」


バラードのラブソング

音楽用語で何て言うのか何て、わからないけど

今、自分の為だけに歌ってるということに

優越感を覚える

堪らず後ろから抱き付くと
珍しく驚いた万斉が振り向く


「誕生日おめでとうッス、万斉」


ふありと微笑んだ万斉は

優しく私を包んでくれた


天の邪鬼な私の愛し方
(こんな私を愛してくれる君が好き)


それは甘い、
鼓動が奏でる恋愛バースデーソング

.
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