×お妙
□人類皆バカップル
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「妙!」
「何?ご機嫌ね、また子」
パタパタと嬉しそうに走ってくるまた子
その勢いのままに
私に抱き付いてきた
「明日の受験の打ち上げ、沖田と二人で来れることになったッス!!」
「あら、良かったじゃない」
「うん!!」
まぁ沖田くんがまた子が他の人と行くのを
許すとは思えないけれど
それにしても、
羨ましいわ
「それで、相談なんスけど…妙?」
「え、あ、何?」
「どうかしたんスか?
暗い顔して」
「何でもないわ」
「嘘、何かあるなら私に話すッス!!
親友なんだから♪」
「また子…」
また子の純粋な優しさと、
こんなことまた子意外に話せないのとで
私は相談することにした
「実は、
私まだ土方さんに打ち上げ、誘われてないの」
一瞬だけきょとん、とすると
直ぐにいつものように笑った
「それなら自分から誘えばいいッス」
「そんな簡単に言われても…」
「だって、土方は沖田と二人で“二大王子”何て呼ばれてるッス
女子が誘わないとは限らないッスよ」
そう、それが一番心配なのだ
土方さんは、
容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能で
しかも真面目すぎず喧嘩も強くて
勿論、モテる
沖田くんと共に
二大王子、何て呼ばれていて
ファンクラブだってある
…本人は知らないのだけど
「私だって、それとなく、沖田に話を出してみたッス」
「それとなく…?」
「それなら、妙もきっと上手くいくッスよ♪」
頑張って!とまた子が私の手を強く握る
私も思わず握り返し、
「頑張ってみるわ!」
──────────…
「土方さん」
「お妙さ…ブオォ!?」
「……どうした?」
「あの、」
ゴリラはそこで死んでいる
他に人は居ない
今がチャンス…
「あの、打ち上げって何方かと一緒に行くんですか?」
「いや」
「私も、まだ決まってないんです」
「──…一緒に行く、か?」
「はい♪」
勿論私はこのあと
また子の元へ急いだ
「良かったッスね♪」
「ありがとう
また子のおかげよ」
また子は自分のことのように喜んでくれた
「それで、今度は私からも相談なんスけど…」
「何?」
「どんな格好をすればいいッスか!?」
「好きな格好でいいわよ」
「で、でも
私センスないし…
少しでも、か、可愛いって、思って欲しいし…//」
そういえば打ち上げは私服だったわ
今のままで十分可愛いと思うのだけど…
でも、私で力になれるのなら
「一緒に服見に行きましょうか」
「うん!
ありがとうッス」
───────────…
また子の服選びも終わり、
打ち上げの日
土方さんが私を迎えに来た
「お待たせしてすみません──…」
「いや
それじゃ、行くか」
「…あの、土方さん」
「何だ?」
「その格好で行くんですか?」
「そうだけど…」
変か?と聞いてくる土方さんはかっこいい
いつもより余計にかっこいい
正直、見せびらかすのもアリ
だけどこれは少しかっこよすぎる気が…
女共が何するかわかったものじゃない
「た、妙…?」
白いワイシャツ…ボタンを2つ開けている
何かそこが男の癖に色気がある
黒いジャケットはより背中の形がはっきりとわかる
黒いズボンがスラリと長い足をより綺麗に見せていて、
終いには黒いハット──…
かっこいい
悔しいけどこの人はいつも私より色っぽい
「…着替えましょうか」
「は?」
「時間はたっぷりありますし、
一度土方さんの家に…」
「…やっぱり変か?」
「え?」
土方さんがハットを深く被る
「似合わねぇ、か…?」
「い、いえ!そんなこと…
ただ、土方さんが格好良すぎて他の人に見せるのが
(心配だし)勿体なくて」
「な…///」
みるみる赤くなる土方さんの顔
すると急に視界が真っ暗になった
ハットを被されたらしい
「土方さ…」
「せっかく、」
ぎゅっと抱き寄せられ、
耳元に土方さんが囁く
「せっかく俺が言うの我慢したのに…」
お前だって、可愛いすぎんだよ///
人類皆バカップル
(いや、実際かっこいいから仕方ない)
「───…で、結局打ち上げ行かなかったのよ、私達」
「へ、へぇ、そうなんスか//」
『バカップル』と言いたいところだが
また子は何も言えなかった
おわり