×お妙

□無音で愛を囁く
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「♪夢じゃないあれもこれも〜♪」


温かい春の陽射しを感じながら、

私は上機嫌で料理を作る

いつも以上に腕を振るって


「うん、良い焼き具合だわ♪」


得意料理の卵焼きも焼き上がり、
盛り付けをする


「あ…」
「随分機嫌いいな」
「土方さん」


突然後ろから抱きつかれ、
耳元に大好きな声


「声、掛けて下さいよ」
「悪ィ、可愛くて、つい」
「っもう…//」


今日は久しぶりの土方さんの非番

私も店長にお願いしてお休みをもらった

いや、アレは脅しでしょ
byおりょう


「卵焼き作ってくれたのか?」
「はい
いつもより腕を振るいました」
「確かに良い出来だな」


マヨネーズをかけて美味しそうに食べてくれる

頑張った甲斐があったわ


「それから…」
「ん?」
「オムライス、頑張って作ってみたんです

少し焦げちゃったけど…」


ケチャップの代わりにマヨネーズをかけたオムライス

もっと沢山かけるのかな、って思ったけど、

そのまま食べてくれた


「どう…ですか?」


ドキドキしながら聞いてみる

モグモグと噛み、
ゴクンと飲み込む

私も同時に唾を飲んだ


「うめぇ」
「本当ですか?」
「ああ」
「良かった…」


実は料理が下手なのも自覚してる

だけど、土方さんはちゃんと食べてくれる


「ほら、食ってみろよ」
「あ、はい…んむっ」


顔をあげるとパクリとスプーンをくわえた

「あーん」という具合に


「な?」


ニヤリと笑ったあなたに
私も笑って頷いた


「桜」
「綺麗ですよね」
「ああ
花見、行くか」
「はい!
実はこの間、穴場を見つけたんです」
「そうか」


ぽん、と頭を撫でられる

反射的に顔を見ると

とろけそうなくらい
優しく微笑んでいて


「それなら気にしねぇでこうしてられる」


撫でていた手でポニーテールを優しく掴み、
キスをされる

ほんのりと薫る石鹸の匂い


「そう、ですね//」
「いい匂いだな」
「ん//」


私の鼓動が響く

.
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