×お妙

□お姫様の仕返しU
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ここは志村邸、
妙お嬢様の部屋である


「お嬢様、此方は如何でしょうか」
「土方さんはどう思います?」
「お似合いになると思ったから提案してるんです」
「じゃ、じゃあ、それにするわ//」
「畏まりました」


お嬢様専属執事の土方はドレスを整える

今日は久しぶりに買い物

妙の父は心配性で、
中々出掛けさせない


「車のご用意ができました、お嬢様」


言って土方は
慣れた手つきで玄関のドアを開く

既に車がある


「ありがとうございます」
「お待ちください」
「え?」


くいっと妙の顔を己に向けさせると、
土方はハンカチをとりだし、妙の唇を拭く


「あまり綺麗にしすぎないようにして下さい」


グロスを拭き取ると
ニッと土方は笑った


「そんな姿は俺だけに見せりゃあいい」
「っ…//」
「お嬢様、どうぞお乗り下さい」


─────────…


馴染みのブランド店を何軒か回り、

運転手が車をとりに、

土方が妙の父と電話をしている間、

妙は何気無しに窓の外を見た


「──…」


そこには丁度妙と同い年位であろうカップルが居た

二人で手を繋いで歩き、
クレープを食べさせ合って

よくある光景だが、
妙には羨ましかった


「いいな…」
「妙お嬢様、車の準備ができました」
「あ、はい」
「…どうかなさいましたか?」
「いえ、何でもないです」


土方は妙が見ていた方を見て、小さく溜め息を吐いた


「そういうことか」
「や、あの」


妙が慌てて否定しようとすると
土方は妙の手を引いて路地裏へ入った


「わかってるだろうが、
俺は執事、お前は姫だ」
「…わかってます」
「お前が呼べば駆けつけ世話をして、
お前が居なくなれば迎えに行く」
「…はい」
「だから迎えに行くまで待ってろ」
「はい…え?」
「何なら攫ってやろうか?」
「えっやっえ?//」
「嫌か?」


真っ赤な顔で首を横に振る

口元に弧を描き、
妙の額にキスをする


「そしたら幾らでも付き合ってやるよ」
「本当ですか?」
「ああ
だから、それまでは我慢して
今の位置関係を存分に楽しもうぜ」


執事と姫何て中々ねぇよ、と笑う


「さて、運転手が探しているでしょうから、
行きましょうか」
「あの、」
「はい」


背を向け歩き出した土方に声をかける

振り向く前に、
その背中にぎゅっと抱きつく


「もう少しだけ、
二人で居ましょう…?」


珍しく赤くなる土方の顔を妙はニコニコと眺める


「照れてます?」
「違いますっ」


プイと顔を反らして顔を隠す

妙は顔を見ようと腕を引く


「ったく困ったお嬢様だな…」
「土方さ──…」




「お嬢様が俺を見返そうなんて万年早ぇんだよ」


さぁ、参りましょう、と赤い顔の妙を連れて路地裏を抜ける

しっかりと、手を繋いで


END.+゚
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