×お妙

□蛍雪の夜に
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「冬休みかぁ…」


冬休み何て、夏に比べてうんと短い癖に予定はびっしりだ

特に受験生である私には、
とても辛い日々になるだろう


勉強詰めで、とても休暇とは言えないような


「妙、それじゃまたっス!!」
「姉御またネー」
「うん、バイバイ
よいお年を」


しかもついていない、
今日は日直なのだ

九ちゃんは大事な顔だしパーティーがあると言って慌てて帰っていった
また子と神楽ちゃんも各々予定があるらしく、
軽い足取りで帰っていった

新ちゃんはライブに行くと張り切って駆け出した


少ない冬休みのクリスマスという1日を、
皆思い思いに過ごしている


「まったく、
終業式の日に日直だなんて、ついてないわ」


一人呟くと、がらり教室の扉が開いた


「志村、掃除の方は終わったぞ」
「ご苦労様、
日誌ももうすぐ終わるところ」


今日唯一ついてるのは、
日直の相手が土方くんだと言うことだ

別に好意を寄せているわけでも、仲がいいわけではない


ただ、土方くんなら無駄なく効率的に素早く仕事を片してくれる


「お前、良いのかよ
さっき来島とチャイナ帰ってったけど」
「いいのよ、二人とも各々の用事があるし

土方くんこそいいの?
外で女の子達が待ってるわよ」
「知るか」
「ふふっ」


土方くんは向かいの椅子に座って私の書く文字を見ている

いやね、
そんなにジロジロ見られたら緊張するじゃないの


「それじゃあクリスマスはお一人?」
「ああ
勉強しねぇとな」
「土方くんなら特待生で行けたんじゃないの?」
「そんな甘くねぇよ

それに、自分の実力で行きたい」
「…随分自信があるのね」
「そんなじゃねぇよ
…ん、書き終わったな」
「ええ」


提出には土方くんが行ってくれた

私はコートを着てマフラーを巻いて礼儀として土方くんを待った


「そういやお前もT大だったよな、志望校」
「…ええ

うちの学校からは私と土方くんしか居ないけれど、
倍率はすごく高いわよね」
「そうだな」


特に気に止める風でもなく土方くんは歩を進める

ついでに言うと、女の子達に目もくれずに


本当に余裕なのね、土方くん


「それじゃあ、俺こっちだから」
「え、あ、うん
それじゃあね」


土方くんと別れるといよいよ一人で

周りが幸せそうに輝いてるなか、
私独りだけが取り残された気がした

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