×また子受け

□ハイビスカス
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「晋助様!!」


今日も元気にまた子の声が響く

一日に何回この声を聞くだろう
(しかし高杉の声は一日に聞くことが出来るだろうか)

今日も今日とて、また子は高杉に心酔している


「あ、おはようございまッス、万斉先輩」
「晋助との扱いが違いすぎないか?」
「そりゃそうッスよ」


当然、と言うように答える
事実また子の中では当然なのだろう

先輩方を尊敬していても、
高杉が彼女にとって特別なのだ


「今日は晋助様もご機嫌で嬉しいッス!」


鼻歌なんか歌いながらまた子は洗濯物を干していく

鬼兵隊に女はまた子しか居ない
そのため、どうしても普段先陣をきって戦うまた子に家事の負担は多くいってしまう

万斉は弾いていた三味線を置いて、
また子の傍まで歩いていく


「万斉先輩?どうしたんスか?」
「手伝うでござるよ」
「え!?そんな、いいッスよ!」


また子より位置の低い平隊員達でも手伝わないのに、
自分より上の、先輩に手伝ってもらっていいのか、とまた子は慌てふためく

武市ならば手伝わせるが、万斉となるとやはり少し違う


「また子も普段大変でござろう
それに、今は前の任務で腰を痛めている」
「し、知ってたッスか」
「これでもちゃんと見てるでござるよ、また子のこと」
「な…」


金魚のように口をぱくぱくさせ顔を赤くするまた子を見て、
万斉は赤色のおべべが似合うと思った

もっとも、口にしたら怒られるだろうが


「今日は拙者もオフでござるゆえ、
何かあったら手伝うでござるよ」
「そんな、いいッスよ、万斉先輩にそんなことさせるなんて、悪いッス!」
「心配入り申さぬよ、
晋助には言わないから」
「そうじゃなく…っ」
「気にするな、拙者がまた子と一緒に居たいだけだ」 
「え…」


顔が真っ赤になるまた子を笑って、
万斉は「他の籠を取ってくる」と出て行った

今まで通り万斉と接せなくなったまた子が本当の恋を知るまであと少し


fin
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