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□夜空を見上げ、
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沖縄は海も綺麗だけど夜も空は星の海ーー
「いつ見ても惚れ惚れしちゃいますねー」
『あぁ…』
言葉は少なくても横でこうして並んでるだけで幸せを感じる
「桐生さんは東京に帰りたくならないんですか?」
『今は、思わないな。』
「思ってた時期、あったんですか?」
『お前を残して来た時だな。』
1年前桐生さんは施設経営すると東京を出た。
私自身の仕事もあり、なかなか沖縄へと来る時間もなかった
今は仕事も片付き、こっちで働いている。
「あの時はびっくりしました〜。でもこうと決めたらそうする人ですもんね、桐生さんは(笑)」
『あぁ…』
焼酎がロックで入ったグラスがカランッと鳴る
「でもそんなところが素敵なんですけどね…」
『………』
黙ってお酒を口に入れる
顔は見えなくとも優しい顔をしてるんだろう
『……お前は帰りたくないのか?』
「私ですか?…桐生さんがいない東京は、つまんないです。」
『そうか…』
グラスを縁側に置いたかと思うと強く引き寄せられた
「き、桐生さん?!」
あんまり感情を出さない桐生さんだから少し驚いた
「よ、酔っぱらっちゃったんですか////」
『かもな。』
焼酎の甘い匂いが漂う
『この星空、お前と眺めてたい。ずっと。』
「…………はい」
柚は照れながら桐生の背中に手をまわす
『お前との子供とも、眺めてみたいな。』
「え、桐生さん??////」
「よ、酔い過ぎですよ///」
『そうだな…』
焼酎の甘い香りが私の口に広がった
いつまでも、星空と共にーーー