【short story】
□Souleater
1ページ/25ページ
真夜中。
誰もいない事務所で。
慌てて部屋を飛び出し、階段を駆け降りた。
明かりは消され、月明かりだけが事務所内を照らしている。
眠気と疲労で頭がグラグラしたけど、なんとか洗面台に駆け込んだ。
手探りで棚から薬瓶を取り出す。
蓋を明け中身をひっくり返し、噛み潰すようにして口に詰め込んだ。
苦味で噎せ返りそうなのを耐え、水で流し込んでから、別の薬瓶をひっ掴む。
それでもまだ治まらない眠気に、冷水で顔を叩く。
もうどれくらい眠ってないんだろう…。
鏡の向こうの自分を見る。
肌が白いのはもともとだが、
やつれて、目の下にはくっきりと隈ができていた。
…眠ったらダメだ。
そう思うのに、睡魔は容赦なく襲いかかってくる。
それは、いくら薬を飲んでも、気をまぎらわせても、変わらないことだった。
何かが胃の府をさまよう。
慣れた吐き気に口を抑え、怖くて仕方なくてにその場にうずくまる。
「なんで……」
なんで、こんな目にあわなきゃならないんだ…。
意味なく自問したところで、それに勝てなかった。
重くなる瞼を閉じて、意識を手放した…。