【short story】
□Assault
1ページ/8ページ
最初は単なる小遣い稼ぎのつもりだった。
ここのところ依頼も少なかったし、なにより、あいつが暇を持て余してるような気がして。
だから、ほんの些細な親切のつもりだった。
悪気は…、全くなかったんだ。
退屈そうにしているネロが目に入った。
一向に鳴らない電話を待っているようだった。
電話番は確か他の奴だった気がするが、気を使ったのか。
一見すれば端正な顔立ちの好青年でも、その体には確かに悪魔の血が通っている。
加えてネロは、ダンテたちより、その自分の中の悪魔を抑えるのが苦手らしい。
何かを破壊したくてしょうがない、といった表情だ。
イライラした様子で、何も起こらない、この状況にやきもきしている。
平和な世の中に産まれるべきではなかったのかも知れないとすら思う。
見かねたのは、この事務所の持ち主だった。
4「おい、坊や」
ネ「あ”?」
ぎろりと睨んだ目は、殺気すら宿っていそうだった。
当然のようにヒゲは飄々として
4「ストレス溜まってんなー…。外で気分転換でもしてきたらどうだ?」
ネ「用がないなら話しかけんじゃねーよ」
嫌に好戦的な発言に、ヒゲも少々カチンとは来たが、そこは大人。
4「そうか?せっかくいい話をしてやろうと思ったのに」
なんだか怪しい言い方に、ネロは盛大に眉をしかめる。
ネ「何だよそれ」
ヒゲは、すぐにネロの問いには答えず、話すより来てみた方が早い、とか言って、ネロを外へ連れ出した。