【Not Joke】
□Get In The Darkness
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「手を後ろに組むんだ。悪魔」
「違う!俺は悪魔なんかじゃない!
ホントだ!信じてくれよ!」
店への帰り道、大通りの方が騒がしかった。
またか。再度思う。
自警団の騎士達が見回り中らしかった。
「お前がバケモノに変身するところを見たんだ」
「何言ってんだ?俺は何も…」
「とにかく逮捕だ。おい、早く連れていくぞ」
「待ってくれ!俺はホントに」
言葉は聞き入れられることなく、腹を蹴り上げられる。
非人道的な態度に、声をあげる者はいなかった。
踞った男に手錠がかけられ、回りにいた騎士が連れていく。
悪魔を疑われた者は、収容所に集められることになっている。
詳細な位置はネロも知らないが、噂では、重犯罪者を収監していた刑務所を造り替えてできたものらしい。
それゆえ、一度入れられたら、刑を執行されるまで出られないといわれている。
刑など、対象者が悪魔の場合、一つしかないのだが…。
”悪魔”を連れた騎士たちがこちらにやってくる。
待てと呼びとめたい衝動をこらえ、帽子を深く被り直し下を向いた。
”悪魔”が横切る。
「助けてくれ…」
ネロの右腕は無反応のままだった。
そうでなくとも、彼が悪魔でないことは一目瞭然だった。
だが人間に、特には盲目的になっている人間に、それが分かるはずがなかった。