【Not Joke】

□Taste the Blood
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砂混じりの血の味がした。


「うぇっ…、うっ…うっ…」

「ダンテ!こんなとこにいたのか!探したんだぞ!
…なんだ、また泣いてるのか?」

「だって…」

幼い日の俺は、手の中で死んでいる子猫を、目の前にいるバージルに見せた。

「いじめられてた…。
みんなはこいつが店のもの盗ったり、壊したりしたからって…それで酷いことして…。
止めさせようとしたけど、そしたら、おれも悪いって…」

棒で叩かれたり、ひっぱたかれたりして痛かったけど、もう傷は治ってた。

それでもバージルの目に、一瞬怒りの色が見えた。

「誰がやった」

「…分かんない。こいつのことしか見てなかったから。
でも、結局死んじゃった…。
おれ、間違ったことしたのかな?だからぶたれたの?」

すると、バージルは首を横に振って

「そんなわけない。ダンテは間違ってないよ」

「じゃあどうして…?」

また泣き出してしまったのを、バージルは背中を撫でながら宥めるように。

「ヒトはね、どうしても思い通りにしたいことがあると、正しいかそうじゃないかの判断を簡単に無視して、やり通そうとするものだって、父さんが言ってた。
それはいい意味にもなるし、でも時には悪い意味でそうなるんだって…」

「むつかしくて分かんない…」

「バカだな、ダンテは」

「バカじゃないもん…」

俺は、言いながら手の甲で涙を拭う。

バージルはまだ背中を撫でてくれていた。

「それより、こいつをどこかへ埋めてやろう。
天国に行けるように」

それから俺たちは、家の庭にその猫を埋めた。

母さんのいない家を見て、俺はふと思う。

「こいつ、母さんはどうしたんだろうな。
兄弟は、いなかったのかな…」

「……」

「いたら、死ななくて済んだかな。悪いことしないで、みんなからぶたれなくて済んだかな」

バージルは困った様子だった。

「…そんなの、分かんないよ」

「うん…。」

それで、なんだか分かんないけど俺は、急に怖くなって、横にいるバージルに抱きついた。

「なんだよ急に!気持ち悪いぞバカダンテ!」

バージルは怒ってたけど、俺は、涙が止まらなかった。

「…バージルは、いなくなんないでくれよ……。」

「…………。」

だけど、優しい言葉なんかなくて。

泣きじゃくる弟に返って来たのは、拳骨一発だった。

「いてーーーーーっ!!」

「何がいなくなるなだバカダンテ!おれもお前もいつかは大人になるんだ!
そしたら離れ離れになるだろうし…、大体、お前みたいなバカ弟の面倒なんかずっと見てられるか!!
だけど…」

今度は、泣きじゃくる弟の頭を撫でた。

「おれはお前の兄貴だし、お前の味方だ。ずっとな。
それに、何があってもお前を守るって、父さんと母さんに約束した」

涙は止まっていた。

そんな話されて、驚いていたけど、いつの間にか沈んだ気持ちは晴れていた。

「…へへっ。
バージルだって変なこと言って気持ちワリー!何が守るだよ、エラソーに!」

「お前…!泣いてたから励ましてやっただけだ!なのになんだその態度!」

「泣いてないもーん!」

「嘘つけ!!」

「…でもさ」

怒り心頭に達しそうなバージルに、俺は笑って返した。

「バージルが兄貴で、おれちょっと嬉しい」

「…?」

「おれのこと大事にしろよー」

バージルは舌打ちをして、嫌だけどと前置きしてから



「当たり前だ」
















塔の屋上。

バケツをひっくり返したような土砂降りの中、

俺は、動けなかった。

奪われた母の形見。

川になって流れる赤。

水浸しの地面を見て、あの日のことを思い出す。

―ヒトは、どうしても思い通りにしたいことがあると、正しいかそうじゃないかの判断を簡単に無視して、やり通そうとするものだ。

それは、あんたも例外じゃあなかったんだよな。バージル。


…血の味がする。


こんなの久しぶりだった。


こんな虚しくなるのも…。



―ずっと兄貴で味方だって?


笑わせんなよ。

雨が眦から伝って、地面に落ちた。





――――――――――――――

過去捏造です。すいません。
バージルの過去と今のギャップに傷心なダンテェイを書きたかったのですが…上手くいったでしょうか。
小説は読みたいですがねー出費がゴニョゴニョ…。
そんなわけで、当サイトの幼少期ものは全部捏造となってしまいますがご勘弁を;;
ホント双子大好きなんですが!
あ、他ダンテェイやネィロゥも好きですよ!



2013/8/23


 

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