【short story】

□Souleater
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―3週間前。




3「はい、完了。」


若が最後の悪魔を斬り倒して言った。

森の中に悪魔が出るから何とかして欲しい、と俺が依頼を承けてたんだけど、暇だからって若までついてきた。

ネ「もういないか?」

若は、反対側の並木を見て、耳をすましてから、

3「クリアだ」

…それ、いい加減に言ってないか?

お前、テキトーこいてるようにしか見えないんだよ。

3「疑うなよ。ちゃんと見」

で、案の定。

若の右手側から、タコみたいな悪魔が突進してきた。

すかさずブルーローズの引き金を引く。

悪魔は断末魔と共に、煙となって消滅した。

静まり返った空気の中、若は慌てて立ち上がる。

3「さっきはホントにいなかったんだ」

言い訳すんな。

バージルがいたら幻影剣確実だぞ。

…全く

ネ「もう少し調べるぞ」

3「え〜」

若は文句ありげだったけど、無視して森の奥を目指した。








かなり深いところまで来たんじゃないか。

霧が出てきたし、向こうの方に沼地が見える。

今のところ悪魔の姿はない。

そろそろ戻るか、とか思ったとき、沼の水面に何か大きな影が見えた。

ブルーローズを構え、足音を忍ばせて歩み寄る。

でも、近づいてよく見ると、それはただの水草だった。

ネ「なんだよ…」

少し気にしすぎか?

今度こそ道を戻ろうと振り返ったその時、何かに腹にタックルを決められ、沼に突き落とされる。

慌てて起き上がると、さっき若に襲いかかったのと同じ悪魔が、目の前を漂っていた。

ネ「てめぇ…!」

服がびっちゃびちゃになっちまったじゃねーか!

右腕で掴み上げ、バスターで引きちぎる。

雑魚の分際で、やってくれやがって…

とか思ってたら、今度は脚を引っ張られて、水中に引き込まれる。

見たら同じ悪魔だった。

ネ「この!離れろッ!」

もがいて引きはなそうとしたけど、後ろに張り付かれて無理だった。

背中から両腕を掴まれ、動けなくなる。

耳元で口が開いて、首に何かが刺さった。

ネ「…かっ……」

力が抜け、膝を折る。

そういえば、こいつは魔力を吸収してくるんだった。

でも、気付いた時には遅くて、すでに満足に抵抗出来なくなっていた。

マズイ…意識が薄れてきた。

もうダメだ…と思ったとき、

背後から銃声が聞こえて、同時に束縛がとかれる。

3「ネロ!」

若か…。

くそ、おせーよ…。


間一髪、救われたんだろうけど踏み止まる力がなくて、そのまま水の中に倒れた。




 
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