命さへ

□隙間風
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「はぁ..」


思わず、溜め息が漏れる。


すぐ目の前には甘寧。


『なんだぁ?どうした、凌統。酷く疲れた顔しやがって。』


真っ直ぐな瞳で見てきやがる。

何だか恥ずかしくなって、思わず目を逸らす。

「疲れたんだっつの…」

顔を背けながらうんざり顔で言ったつもりだが、多分今の俺の頬は緩んでいる。

少なくとも疲れた顔はしてないだろう。

『じゃぁ、寝りゃぁいいじゃねーか。』

にやにやと笑いながらぐっと顔を近付けてくる甘寧。

..俺に馬乗りになって言う台詞じゃぁないよな、それ。

きょとんとした顔で俺を見つめてくるが。

見つめ返してやろうと顔を上げたが、既に、鼻と鼻が触れ合いそうな位の距離で。

俺の顔を覗いてくる甘寧の

その無邪気な瞳を可愛いとか思ってしまった俺は重症だ。

昔は苛つくだけだったのにな。

今はその顔が憎たらしいよ、まったく。

「あんた、言ってる事とやってる事、おかしいんじゃありません?」

結局、目を軽く游がせて話す俺。

『へへっ、まぁな!』

と、甘寧は照れた様ににかっと笑った。

…うん。まぁな、じゃなくてね?

「寝かせてくれっての!!」

危うくその笑顔に流されるとこだったよ。

『へへん、ぃやだね。寝かせる訳ないだろうが。』

と、更に顔を近付け、俺は後ろに退くがそろそろ腹筋が辛い。

甘寧はいつものしてやったり顔。

い..いや、ここでその顔はおかしんじゃぁありません?

俺はぎこちなく笑う。

甘寧の手がゆっくり俺の腹を押す。

こいつ..退かないつもりだ。絶対退かないつもりだ!

いや、もう胸元に手を這わせんなっ!!?

だが俺は甘寧の手を見つめる事しか出来ず。

ふいに服の上から胸の突起をなぞられた。

「ぅぁ、くっ..」

敏感に反応してしまう…

声を出すまいと唇を軽く噛み締める。

甘寧が真っ直ぐに俺を見つめながら、少しとろんとした目がいやに艶っぽく思えた。

あぁ、駄目だ…今日も..俺は……

『…なァ、凌統。俺…もう..』



ガチャッ




え。


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