◎long

□you & me
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《梨沙子×茉麻》

「ごめん、梨沙子ちゃん待った?」
「いえ全然。」

駅で待ち合わせて、駅前のスーパーへと歩く。

「そういえば、まあの事はママって呼んで。」
「え、ママですか?」
「うん、あだ名みたいな感じ?後輩達みんなそう呼ぶんだよね(笑)」
「じゃあ…ママ?」
「OK(笑)」
「あたしの事も梨沙子で良いですよ?」
「じゃあ梨沙子。」

そんな話をしている間にスーパーに着いた。飲み物コーナーで適当に飲み物をカゴに入れる。

「あっ梨沙子、紅茶とコーヒーはちょっと多めにね!」
「何でですか?」
「部員好きな子多いんだけど、ななしが両方嫌いだから、ななしんちないのよ(笑)」
「え、超意外!ななし先輩コーヒーとか好きそうなイメージ。」
「それがね〜、野菜ジュースとかフルーツジュースとかカルピスばっか。子供なんだよ(笑)」

そう言いながらママは野菜ジュースをカゴに入れている。買い物が終わり重い荷物を半分ずつ持ちななし先輩の家に向かった。

「ねえ、ママ?」
「ん?」
「ななし先輩んちそんな広いんですか?」
「あー…。」

ママが少し黙った。その理由が分からずあたしは困惑する。

「ななしね、家族いないんだ。」
「…、え…?」

びっくりし過ぎて咄嗟に声が出なかった。

「まあが話して良いかわかんないけど…、2年前にご両親事故で亡くなったんだ。それから従姉妹の舞ちゃんと一緒に舞ちゃんの家に住んでたんだけど、やっぱり気遣って暮らさなきゃでしょ?一人の方が楽だからって1年前元々住んでた家に戻って、一人で住んでるの。」
「そうなんですね…。」
「うん、だから広いってこと。」
「…。」
「大丈夫だよ。ななしにはみんないるから。」
「…そう…ですよね!」
「うん。」
「ななし先輩ってどんな人ですか?」

なぜか分からないけど、ななし先輩のことが知りたくなった。

「うーん、ああ見えてすごい優しい奴。」
「あたしもそれは思いました。怖い人だと思ってたけど。」
「第一印象で、結構冷たい印象持たれやすいからね。まぁ多分わざとだけど。」
「え?」
「ななしは、本当に信用した人間しか心の中に入れないから。勘が良いと言うか、人のことすごいちゃんと見るから、言葉の裏側まで読んでたりするんだよね。その代わり一回心の中に入れたら本当にその人のこと大事にするんだ。」
「そういうことか…。」
「バレー部の人間きつい子が多いけど、みんな最初から梨沙子の事全然警戒してなかったでしょ?」
「はい。みんな優しかったです。」
「それはななしが梨沙子に心開いてたからだと思うんだ。」
「え?」
「梨沙子の事嫌いだったら、ななしは絶対あの屋上に入れないもん。」
「なんか嬉しいです。」
「うん、まあちょっとびっくりしたもん。あとね、ななしは頭良いんだよ。」
「あんなさぼってるのに?(笑)」

意外過ぎて、失礼だけど笑ってしまった。
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