◎long

□you & me
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放課後いつもはだらだらとお喋りしながら帰るけど、今日は舞とダッシュで家に帰る。

「じゃななし姉、準備終わったら行くから!」
「あー電話して?1人じゃ重いでしょ?」
「お母さんに手伝ってもらうし大丈夫だよ。」
「いや、おばちゃんに悪いよ。」
「大丈夫、大丈夫。ななし姉は準備とか片付けとか色々しなきゃでしょ?」
「うーん、じゃありがとう。」
「OK!」

舞と家の前で別れバタバタと片付けを始める。別に大して散らかっているわけではない。もともと家事はきちんとこなす方だ。それでもいくら気心知れた部員達とは言え、人が来るとなると気になるところがたくさんある。掃除機をかけて、拭き掃除をし終え、冷蔵庫にあるもので下拵えを始めたところで玄関のチャイムが鳴った。

「まあと梨沙子だよ。」

家の近い2人が両手いっぱいに飲み物を抱えてやってきた。

「お邪魔します。」

行儀良く靴を並べる梨沙子にまあが声をかける。

「梨沙子、気遣わなくて大丈夫だよ。」
「おい、それはまあの台詞じゃないでしょ!」
「あはは(笑)」
「でも本当寛いで大丈夫だから。」
「ありがとうございます!」

来る途中でまあとも仲良くなったみたいだし、梨沙子が楽しそうで安心する。

「梨沙子、いきなり泊まりとかなっちゃったけど、家の人大丈夫だった?」
「はい。びっくりしてましたけど、全然平気です。」
「なら良かった。」

そんなやり取りをまあがニヤニヤしながら見ている。

「なにニヤニヤしてんの?」
「いや〜、ななしさ、梨沙子に過保護じゃない?」
「はぁー?別そんなんじゃないけど、他の部員みたいに適当にするわけいかないじゃん。」
「ふぅーん(笑)」
「なんなの本当に!」

やたらからかってくるまあは放っておいて、下拵えの続きをする。他の部員達も続々と集まってくる。

「ななしせんぱーい!お菓子開けていいー?」

千聖が大声で聞いてくる。

「もうご飯だからダメ!!」
「えー、お菓子食べたーい。」
「子供じゃないんだから!」

ーったく私はお母さんか。

みや、千奈美、千聖、舞は修学旅行気分でギャーギャー言いながらトランプで盛り上がっている。マネージャー組は楽しそうに梨沙子に部のことを教えてるみたいだ。熊井ちゃんと早貴は何だか良い雰囲気で、みやや千奈美に冷やかされている。

ーってか誰か手伝えよ。

私は1人で黙々と料理をする。まぁいつもこんな感じなので今更怒ったり、イライラすることもない。なんだかんだ楽しそうにしてる皆を見るのが楽しいし、家が賑やかなのは嬉しい。いくら自分自身を誤魔化してもやっぱり寂しいのかもしれない。そんなことを思いながらせっせと手を動かす。ふと気付いたら梨沙子が後ろに立っていた。

「梨沙子、どした?」
「何か手伝います。」
「え?大丈夫だよ?みんなと喋ってな?」
「ななし先輩1人じゃ大変だから。あっ、でも逆に邪魔ですか?」

ちょっとショボンとなった梨沙子が可愛くて髪の毛をくしゃくしゃと撫でる。

「じゃそこの野菜切ってくれる?」
「はい!」

ニコーッと笑った梨沙子にドキッとした。

「これ何に使うんですか?」
「ポトフだよ。」
「あったかくて良いですね〜。」
「簡単だし、野菜もたくさんとれるしね。」
「すごいな…、ななし先輩。」
「え?」
「あたしも料理出来るようになりたいな。」
「教えようか?」
「え、本当ですか?」
「私で良ければいつでも。」
「やったぁ!」
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