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□お寝ぼけ王子
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――ある日、公演のお稽古中・・・。


「あ、いたいた。おーい、みりおん〜。」


私のところにキタさんがいらして声を掛けられた。


「あ、キタさん。何ですか?」


「大したことじゃないんだけど、ちょっと聞きたいことがあって・・。ぐっちゃん見なかった?」


「え・・?りかさんですか?見ていませんけど・・。」


・・そう言えば、今日はまだ一度もりかさんにお会いしていないことに今、気が付いた。


「そっかぁ〜・・。どこ行ったんだろ?ぐっちゃん。」


「あ。私もりかさん探すの、お手伝いします!」


「いいの?ありがとう♪じゃあ、見つけたら私が探してたって伝えといてね。」


「はい!分かりました。」


そう言い残すと、キタさんは再びりかさんを探しに行かれて、私もすぐにお稽古場を後にした。



「りかさん、どこに居るのかな・・?居るとしたら、やっぱり教室の中だよね。」


念のため、いろんなところを探してみたけど、りかさんはなかなか見つからなかった。

ふと、廊下でおしゃべりしていた下級生の子たちの会話が耳に入ってきた。


「ねぇねぇ、さっき向こうの教室でかなめさんがお昼寝してたよね。」


「うん、私も見た!かなめさん、気持ち良さそうに寝てたね〜♪」


それを聞いて、そう言えば向こうの教室はまだ調べていなかったと思い、私はその教室に向かった。



「ん〜と・・・あ!居た!」


下級生の子が話してた通り、扉の窓から中を覗くと、誰も使っていない教室の窓が一つだけ開いており、そこに近い長椅子で横になって寝ているりかさんの姿があった。


「りかさ〜ん・・?キタさんが呼んでますよ〜?もしも〜し?」


・・トン、トン


そっと教室の中に入って、すぐ傍で呼び掛けたり、軽く叩いたりしてみたけど、熟睡してるせいか身動ぎするだけで、あまり意味がなかった。


「・・・・・。(きっとすごくお疲れなんだろうなぁ・・。やっぱり、一番疲れてるのはりかさんだよね・・。)」


そんなことを思いつつ、どこか子供っぽい寝顔と、窓から入ってくる風で微かに揺れる髪がフワフワとしているのを見ていたら、自然と撫でてみたくなった。
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