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□特別なキミ。
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「でねっ、ここの喫茶店がさぁー………」
最近の女子高生の様に永遠に喋り続ける目の前のこの人。実は僕の彼氏。
別に元からこういうキャラだから嫌では無かったりする。(希にイラッとするけど。)
だけど僕には不満がある。
その不満とは“本当に僕が特別なのか”という事だ。
それは、キャラなのだからこの人の所為ではない。が、しかし簡単に女の子に抱き付いたり、頬にキスしたりと軽はずみな行動が多いのも事実。
『ねぇ、嶺二。』
「ん?なぁに?真剣な顔しちゃって。もしかして………別れ話!?嫌だよっ!!」
『そうそう、僕達別れようか…。』
オーバーリアクションで答えてくれる嶺二を見て真顔で返してみる。
「え、嘘…マジで?」
動きをピタリと止めて俯く僕を顔をひきつらせながら凝視する嶺二。
そんなショッキングな顔を見れて、少しだけ心の奥があったかくなった。
『嘘。で、本題なんだけど…。』
「へっ…嘘っ!?っていうか次の話題に入るの早過ぎ!!」
慌てる嶺二の真向かいの椅子から立った僕は、彼の隣にポスンッと座ると膝を抱えて座り直す。
僕の様子に違和感を感じたのか、顔を覗き込んでくる嶺二と目が合ってドキッと心臓が飛び跳ねる。
『嶺二に、とって………僕は…なに…?』
「僕の可愛い彼女、でしょ?」
『そういう、意味じゃなくてさ。』
「んー…My sweet honey?」
『ち、違くてっ…』
「えぇー?」
恥ずかしい台詞を連発する嶺二に呆れて膝に顔を埋める。
『僕はっ…嶺二の、特別なの……?』
真っ赤であろう顔半分を膝で隠して、チラリと嶺二を盗み見して見れば、目を見開いた後に柔らかい笑みを浮かべる。
「なんでそんな事聞くの?」
『嶺二が、他の女の子にも優しいから…っ……』
「……くすっ…ヤキモチだ?」
『…うっさい……』
「可愛いなぁ、僕の彼女は。」
羞恥心から溢れる涙が目を潤して視界がボヤける。
「大丈夫っ、琴音は僕の特別な人だよ。」
そう言って嶺二は僕を軽々と持ち上げると自分の膝へと乗せる。すると、僕の後頭部に手を添えると自分の方へと引き寄せる。
『なっ…ちょ、ちょっと…っ!?!?』
「ん?僕、こういうのは特別な人にしかしないよ?」
『………っ〜〜ズルい…』
僕がそう言うと嶺二はフッと笑って目を細めて、ゆっくりと目を瞑った。
僕も恥ずかしがりながらスッと目を閉じて嶺二の温かくて柔らかい唇に自分のソレをくっ付ける。
『……んっ…』
そっと唇が離れると、ぺろりと頬を舐められる。
「琴音はこれからもずっと特別な子だよ。」
『……ぅん、僕も嶺二…特別…。』