おはなし

□待ち人
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待っていろ

そう言われ待つこと三時間
個々はとある高校の男子寮の一室
土御門元春と言う男の部屋だ
珍しく束ねていない長い黒髪と
名門中学校の制服を身に纏った女の子
雨野ドリーム設定数々の闇を見てきた女の子でもある同じ暗部に所属し
様々な仕事をこなしていた女の子
だが
土御門元春に一途でもある女の子なのだ
暗部の仕事で三時間も居なくなった
土御門を待つのだが


「電話もくれないメールも無い」
深夜2時
辺りはシーンと静まっている
「まさか…ね」

ハッと顔をあげ頭を横に振る
(いけないこんなこと考えちゃ)
その時
ガチャとドアが開く音がする
ピクッと体が動き暗い顔が一瞬で明るくなり真っ先に玄関に向かう




「土御門お帰…」
言葉が詰まるそれもそうだ
頭からは血を流し服には血が滲んでいた



「ただいま」
か細い声歪む顔ふらふらな体を動かし
椅子に腰掛け
治療セットを取り出しカチャカチャと手際よく治療していく

思考回路が停止する
わかってるわかってる暗部に入れば
傷を負うことも
わかってるもしかすると死ぬことだって
必死に自分に言い聞かせた


「ん、どうしたぜよドリーム設定
サングラスから覗く目

「…ばか」
ナナは土御門に近づき腹部の傷口付近に手をやる
彼女は水流能力の最強
傷口に薄い氷をはり血止め出来るのだ


「こんなに怪我するなら
電話とかくれてもよかったのに…」
土御門はドリーム設定と彼女の名を呼ぼうとするがさえぎられる


「僕これでも能力者だし
僕だって力になれるよ

…僕じゃ…ダメかな」
涙が出ないように堪える

ぽんっと頭に手を置かれた
「ダメなんかじゃないぜよ
今のお前を十分に力になってる

でもお前が傷付くのを見たくないんだ」


「それは僕も同じだよ
お願いだから無理しないで
僕を頼ってよ」
涙が溢れた


もしかしたら明日土御門はこの世に居ないのかもしれない
もしかしたら二度と会えないのかもしれないと思うと

フワッと体が動き抱き締められた
「ごめん
心配かけたな…泣くな
お前は笑ってる方がいいぜよ」

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