秘密の二人
□双子の窮地
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この深い眠りに誘う睡魔…もしかしてこれは雪村家秘伝の薬“ヨクネレール”か…?
千鶴、俺に黙って飲ませたな…!
白湯を飲み終えた瞬間襲ってくる強烈な睡魔に俺は疲れていたこともありすぐに飲み込まれた。
これは千鶴が俺を心配していたからこその行動だとすぐに理解できた。やることが不器用だけど、そんな千鶴が可愛くて仕方ない。。。俺の大事な妹…今回は俺を騙したこと特別に許してやろうと思う。千鶴が望む通りしっかり眠って疲れを取ろう…
そうして深く眠っていた俺は乱暴に開け放たれる家の扉の音と頭をゲシゲシ踏まれるという不快極まりない鬼畜の所業で眠りから強制的に覚まされた。
「いつまで寝てるの〜?まぁこのまま君は新選組に来なくても僕は構わないけど」
「な…何で沖田がここに…?!千鶴…コイツは危険だから早く逃げろ…」
「あぁ、千鶴ちゃんなら屯所の…僕の部屋で…寝てるよ?」
「なっ…!」
俺を見下ろしニタリと笑う沖田がこんなに恐ろしいと思ったのは初めてだ。
…千鶴が危ないっ!!
「待ってろ千鶴!兄さんが今、助けてやるからな〜!」
「やっぱり兄妹か…」
背後でそんな沖田の声が聞こえた気がしたが、それどころではなく俺は屯所まで全力で走っていた。