カーニヴァル

□輪
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花礫の思いついた作戦とは、とても単純なものだった。

星娜が无の囮になって治安部を惹きつけるだけ。
身長が同じくらいの2人が同じ格好をしたら、治安部は咄嗟には判断できないだろうと花礫は言った。









ショーが始まり、街は人で溢れかえっていた。
ショーの会場には子供の心を擽るようなキラキラした物が沢山あり、ただでさえ落ち着きのない无に星娜はハラハラしていた。

夜になり街は賑やかになっていく中、とうとう无がはぐれた。


「あのバカ…ッ无!」

「无ちゃんがいなくなったら、作戦の意味がないじゃん!!」

花礫の立てた作戦は星娜が无のそばにいることが前提だから、この状況は非常にまずい。
2人はすぐに无を探し始めた。


「无ッ、无!」

「おーい无ちゃーん」

人混みを掻き分けながら、必死に无を呼ぶ。

「花礫っ星娜・・・!!」

「えっ!?」


聞き慣れた声に反応して振り向いた瞬間、星娜は固まった。
カエルのような着ぐるみの頭だけを被った子供がこっちに向かって走っくる。

正直、少し怖い。

「うわっ、何・・・」

花礫が咄嗟によけると、その子は転び被り物が外れた。
予想通り被り物の正体は无で、この短時間で治安部に見つかってしまったらしい。

「お前っ・・・なぁ!!勝手に消えるわ、治安部に見つかるわ!!」
「无ちゃん、ファスナー上まで上げて!」

花礫から鉄拳をくらった无は、あわあわとパーカーのファスナーを上げた。

「无、来い!!星娜、作戦実行だ!!」

无の手を引いて走りながら花礫が叫ぶ。

「了解。じゃあ、またあとでね」

无同様にパーカーのフードを被りファスナーを上まであげた星娜は、花礫達とは逆方向に走った。
治安部が追ってくるのを確認しながら、ショーの会場の広場からどんどん遠ざかって行く。

花礫の考え通り、无を追っていた治安部はみんな星娜の方へと追ってきた。

(こんな簡単に作成に引っかかるなんて、治安部って大丈夫・・・?)




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