カーニヴァル
□騒音
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隣の車両からさらに2人の男が叫びながら入ってきた。
「誰だ!?CEOを取り返しに来たのか!?」
「君達アイツ等の仲間じゃないなら言ってくれないと、間違えちゃうでしょう?」
そう言うとその男は銃を持って現れた2人の男を一瞬で倒してしまった。
2人を引きずって先頭車両の方へ歩いていく黒服の男を見て、星娜は目が点になる。
「なんだ、あのムカツク奴・・・」
蹴られた腹部を押さえながら、花礫は舌打ちをする。
「どうも面倒くせぇのに乗ったっぽいな。」
「みたいだね・・・。」
「さっき走って来た奴等が会社のCEOを拉致ってこの列車占領してるってトコか。」
近くの座席に座りながら花礫は面倒くさそうに言う。
「で、あのムカツク黒服がCEOを助けに来た奴?」
「完全に私たち犯人に間違われたよね。花礫、大丈夫?」
「あんなの大したことねぇよ。それより、ちゃんと街に着くのかよ。」
星娜がふと无を見ると、ブツブツと呟きながら何かに集中しているようだった。
「・・・无ちゃん?どうしたの?」
「え!?おまっちょっ・・・どこ行く!?」
いきなり走り出した无。
花礫と星娜は慌てて追い掛けた。
无は先頭の車両の前でやっと足を止め、窓から車両の中を覗き込む。
「・・・花礫、星娜ちゃん、いっぱい人がい・・・」
「堂々覗いてんじゃねぇ見つかりてぇのか!!」
无を花礫は思いっきり殴った。
せっかく先頭まできたので、中からバレないように先頭車両を覗くと、銃を構えた数人の男と縄で縛られた人が4人。
縛られている人の中には、さっきの黒服の男もいた。
中から漏れてくる会話からすると、どうやら会社に首を切られた人達が復讐をしているらしい。
「花礫、星娜ちゃんあの子ふるえてるよ。」
今度はコッソリ覗いた无が言う。
「そりゃ怖えーんじゃねー?早くこっから出てーだろ。俺も出てーよ。」
「これからどうする、花礫?」
「飛び降りれる速度じゃねーし、止まるまで隠れてんのが無難だろ。」
「そうだね。」
花礫と星娜は最初に居た車両に戻ろうとドアから離れる。
当然、无もついてくると2人共思っていた。
「无、来い。後ろに戻・・・」
すると、何を思ったのか无は突然先頭車両のドアを開けた。
「誰だ!?」
「なんだお前・・・!?」
子供がいきなり入ってきて、先頭車両の中の人達も予想外だったのか一瞬の間ができる。
その数秒の間に、星娜が无を引っ張り後ろの車両へと逃げる。
无と星娜に銃口が向けられるが、花礫が素早く2人の前へ出て威嚇射撃をする。
「おま・・・意味がわからねえ!!」
「无ちゃん、危なすぎるよ!!!」
「??」
何がいけなかったのか分からず、无は頭にハテナを浮かべる。
「花礫っ、後ろから追ってくるよ!!」
「まぁ、当然だよな。隠れろ!!」
列車という限られたスペースの中だと、いつかは追い詰められてしまう。
隠れても見つかるのは時間の問題だけど、とりあえず3人はすぐ近くの座席に隠れた。
星娜が座席の影からそっと確認すると、男達の後ろにツインテールの女の子の姿が見えた。
「あれ!?あの子ってさっき人質になってた子?」
「はぁ?」
星娜の言葉に、花礫もそちらを見る。
追ってきた男達が女の子に気づき、銃を向ける。
「よせ!!相手は丸腰の女…っ」
花礫は慌てて叫ぶ。
だが花礫が最後まで言い終わる前に、女の子は男を同時に2人投げ飛ばした。
「あ?」
「どうなってるの?」
結局追ってきた男全員が倒されてしまい、隠れる必要がなくなったため3人は座席の影から出てくる。
「一般乗客の方ですね?お守りします。」
3人の目の前に立っているのは、やっぱり人質にとられていた女の子。
星娜たちはますます混乱する。
「・・・音」
「きゃっ!?」
无が何か呟き、星娜、花礫、そして女の子の服を引っぱってしゃがむ。
その直後、隣の車両が爆発した。
「爆発・・・!?おいっお前ら・・・大丈夫か!?」
「うん、私は大丈夫。」
「ヘンな音が・・・」
「・・・音ォ?」
(そういえば・・・无ちゃん、爆発が起こる前にしゃがんだよね。“音”と関係あったりするの?)
星娜は花礫を覗き込むと、花礫も何か考え込んでいた。
「・・・おいっ全員無事だな!?今すぐ前へ走れ!!」
前の車両から黒服の男が走ってくると全員に言い渡す。
さっきの爆発のこともあり、全員が素直に従って先頭車両へと走った。
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