No

□ピアス
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「痛くないよ」
「いや、今じゃなくて」
「分かってるよ、あけるときでしょ」
「そう」


俺の部屋で特に興味のない番組をつけたまま、特に興味のない雑誌をパラパラとめくる裕兄は文字通り『抜け殻』という感じだった。


「場所ミスしなかったらそんなに痛くはないかなー」
「へぇ…」
「何、あけるの?」
「いやいやいや、最近増えたんじゃないかなーて」
「あー」


こんなに彼がボーッとしているのは今日部活が出来なかったからだと思う。

外は土砂降りの雨だった。ずっと暑かったのに突然寒くなる。自分の髪が湿気を吸って余計くるくるのふわふわになるのはどうも気に入らない。
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