花が咲く場所

□家
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美味しそうな匂いがする。

何だろう?

ハッ。


そこで目が覚めた。

見慣れない天井。

見たことのない家具。


ここ、どこ?

白髪の男。

車。

あ、あのあと私、倒れて?

その後は?

あれ?

ーーーガチャッーーーー

音がしてふと見上げると、

そこには白髪の男が立っていた

「気分はどうだ?」

『え? あ、大丈夫です。』

「信用ならねぇな。」

男が手を伸ばす。

ビクッと下がりかけた私の額に手が添えられる

「熱はないな。」

『あの?』

私が不安そうにしているのに気づいたのか

「倒れたから運んだ」

『ここは?』

「俺の家だ。」


無言が続いた。


「もう昼過ぎだ。」

『え? そんなに?』

「仕度しろ。 送る。」

『あの1人で帰ります。』

「そうか。」

たったそれだけの会話だった。


それにしてもこの人、真っ直ぐな目をしてる。

助けてくれた時も思ったけど…


『あの、お名前は?』

途端に男の顔が呆然とする。

「言ってなかったか?」

私が頷くとしまったって顔をしてた。

「雛村 壮一郎だ。」


そういえば敵さんに呼ばれていたなぁ。


「お前は?」

私は言おうとしてやめた。

これで繋がりを無くしたくなかったから。

だから、止めた。

『もう一度会えたら……………

その時に言います。』

そう言ってダッシュッで家を出た。
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