赤い糸

□出会い
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母、夘乃は寝ていた。ここは父、晋作が労咳の

治療のために長州藩から賜った屋敷である。

父は妾である母、夘乃と養女である自分を屋敷

に住まわせ身の回りの世話をさせていた。

その、母の様子が最近どうにもおかしい事は子

供心に理解できた。

母の様子がおかしくなったのは萩にいる父のご

正妻である雅という女性が子供を連れて父の両

親と共に、ここへ向かっていると聞いてからだ

った。

ぼんやりする事が多く、食事を取らなくなっ

た。また、食べてもすぐに戻してしまうのだ。

香は心配だった。

母と父に出会ってからどのくらいたっただろう

か。香の人生は2人に会って変わった。
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