赤い糸
□出会い
1ページ/2ページ
母、夘乃は寝ていた。ここは父、晋作が労咳の
治療のために長州藩から賜った屋敷である。
父は妾である母、夘乃と養女である自分を屋敷
に住まわせ身の回りの世話をさせていた。
その、母の様子が最近どうにもおかしい事は子
供心に理解できた。
母の様子がおかしくなったのは萩にいる父のご
正妻である雅という女性が子供を連れて父の両
親と共に、ここへ向かっていると聞いてからだ
った。
ぼんやりする事が多く、食事を取らなくなっ
た。また、食べてもすぐに戻してしまうのだ。
香は心配だった。
母と父に出会ってからどのくらいたっただろう
か。香の人生は2人に会って変わった。