BLEACH

□Home Sweet home
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わたしはここにいるよ
思い出して 幼い頃



ウチへ帰ろう。


Home Sweet Home





いつからだろう?
あたしとあんたの道が別かれたのは――



雲一つ無い空。
とてもあんなことがあったとは思えない。

あんたがあの空へ消えて何日が過ぎたのだろう……。



『ご免な』


あんたがあの時最後に言った言葉。
今もあたしの頭の中で何度も繰り返し響く。

どうして、あんなこと言ったの?
どうして、あんな顔したの?
どうして、あの時だったの?


考えたってわからない。

あんたは昔からいつもそう。
何を考えてんのかわからない。


でも、時折あたしに向ける優しい眼差しは本当のあんたなんだと信じてた。

あの時までは――




どうして、そんな眼であたしを見るの?
どうして、今なの?


あたしの心は今も昔と変わらないのに、あんたの心だって同じだと思ってたのに――


違う。

あんたの心は何処にあるの?



あたしの全てはあんただってこと、知ってる?
あんたに命を救ってもらったあの日から、あたしの世界に色がついた。

死神になっても、あたし達の道は同じだと信じていた。
あんたの帰る場所はあたしで、あたしの帰る場所はあんただと信じていたのに……。


あんたが上へ行くたびに、あたしはあんたの心がわからなくなった。
あんたに優しくされるたび、あたしの不安は大きくなった。

また、何処かへ行くつもりなの?

不安だけが募る日々を過ごしていたこと、あんたは知ってる?


ふいに涙が頬を伝う。

ギン……ギン……。


あんたは何処へ行くつもりなの?
お願い、ひとりにしないで。
お願い、そばにいて。

――さびしい。


とめどなく溢れてくる涙と共に、この心も、あんたへの想いも流れてしまえばいいのに。


帰りたい……。
帰りたいよ……ギン。

帰ろうよ……二人で過ごしたあの家に。


「ねぇ…ギン…」


空を見上げてあんたの名前を呼んでも、返事は無い。


「ギン…っ」



あたしはここにいるのに、何であんたはここにいないの?
どうして、昔のように一緒にいられないの?

いつもみたいにあたしを呼んで。いつもみたいに抱き締めて。
いつもみたいに笑ってあたしを安心させてよ。


これが、悪い夢ならよかった。
目が覚めれば、またいつもの日常で、あたしは十番隊副隊長であんたは三番隊隊長で、お互いの仕事を忙しくこなしていく。
たまに出会った時には、あんたがあたしにちょっかいかけて、あたしがそれを軽くあしらって……。そんなたわいのない日常。

それがあたしの幸せだった。



涙は枯れる事無く溢れてくるばかりで、あんたへの想いも一緒に溢れてくる。


「ギン…苦しいよ…ギン…ギンっ…」

こんな気持ちを抱くくらいなら、あの日あんたに出逢わなければよかった…。
死んでしまえばよかった。



空へと手を伸ばしても、あんたを掴むことなんて出来ない。

本当のあたしはこんなにも脆くて弱い。
ギンなら知ってるでしょ?

あたしは強くなんか無い。
あんたがいないのに、強くなんかなれない。

「ギン……あたし、どうしたらいい?」

ねぇ、あんたは今何処にいるの?
「帰って……来てよ…っ」


『ただいま。乱菊』って笑って言ってよ……。
今すぐあたしの傍へ来てよ。
『乱菊は泣き虫やなぁ』って笑ってよ。

お願い…ひとりにしないで――




帰ろうよ…二人であの家に。
帰りたい…あの頃に。




ねぇ……ギン……?



早く、帰って来て……。



そっと胸の鎖に唇を寄せ、あんたを想う。
あたしの想いが届くようにと――













ウチへ帰ろう

明日になれば大丈夫って笑ってるかな?
明日になれば裸足で笑ってるから


わたしを呼んで

わたしはここにいるよ


名前を呼んで

ここにいるよ





*end*



職場へ向かう途中に神が降りてきました(笑)。
初BLEACHです。乱→ギンですよ!
178話見てないのに、ギン乱サイトさんのWJ感想を元に書いてしまいました・・・(汗)

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