BLEACH

□Home Sweet Home
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うそをついて 後悔して
わたしは いつか 大人になった



Home Sweet Home



『ギン…っ』


ふと、乱菊の声が聞こえた気がしてうつむいていた顔を上げる。


ボクがキミの前から姿を消して、何日が過ぎたんやろか…?


真っ暗なこの世界では、時間の感覚さえわからない。



ボクがしようとしていることにキミを巻き込みたくなかった。

何よりも大切なキミやから。



本当は言いたいことが、伝えたいことがたくさんあったのに、口に出来たのはあんな言葉やった……。


『ご免な』


最後の言葉を口にした時、ボクはキミに上手に笑うことが出来てたやろか?


あの時、最後に見たキミの顔が今も胸に焼き付いて離れない。
キミの瞳には、涙が溜まっていたかもしれない。

「また、泣かせてしもうたんやな…」

今も泣いているのだろうか?
でも、キミの涙を拭うことも今のボクには出来へん……。
胸の奥から溢れてくる言い様のない気持ちを押し殺すように、手を強く握る。


後悔などしてない。
あの人についていくと決めた時、覚悟を決めたのだから。


それなら、この気持ちは何や?

この期に及んで、まだ未練があるのやろか?


「乱菊…」

キミを求めて腕を伸ばしても何も掴め無い。

キミを巻き込みたく無いから、キミを傷つけたく無いから、キミから離れたのに――
心は、身体は――
こんなにもキミを求めている。


「乱菊……乱菊…っ」

何度キミの名前を呼んでも、キミの返事は返って来ない。


ホンマはあの時キミを連れ去りたかった。
ホンマは離れたく無かった。
ホンマはキミと一緒にいたかった。
昔のように二人でいたかったんや……。


でも、もう戻れない。
あの日には帰れない。

二人で暮らした幼い頃、行き先も告げず、何日も家を空けるボクを怒ってないんか?と乱菊に聞いたことがあった。
でも、乱菊は――

「どんなことがあっても、ギンは必ずあたしの元へ帰って来てくれるもの。だから…少し淋しいけど、平気」

と小さく笑った。

「ごめんなぁ……乱菊。ボクちゃんと帰って来るから、乱菊のトコに」

「うん」

嬉しそうに微笑む乱菊を抱きしめた。

ココが、乱菊の傍がボクの帰る場所なんや。と自分に確かめる為に……。

あの頃のボクには帰る場所があった。

でも――
今はもう帰る場所など無い。


もう、キミの傍へは帰れないんよ……乱菊。



帰りたい。
口に出してしまえば、ボクが壊れてしまいそうで――
帰れない。
わかっているのに、キミを求めてしまう。


キミを守る為に、キミの幸せの為に、ボクがキミの傍にいてはいけない。


「ボクはいつだってキミのコトしか考えてへんのや…」



乱菊。
キミがボクの全て。



暗闇の中で独り、上へと向かって腕を伸ばす。
キミにボクの想いが届くようにと――


「ごめんなぁ…乱菊」


次にキミに会う時は、きっとボクが死ぬ時や。


「そして、さいなら…」


ボクは最後にキミに嘘をついた。
キミを守る為の嘘を――






魂 焦がして 焦がして 叫んでるよ

名前を呼んで 抱きしめるよ


歩きつかれて ふりだす雨
つかみそこねた うさぎを追って

思い出して 目を閉じて 幼い頃


ウチ帰ろう 白いうさぎ
月の裏で逢いましょう


名前を呼んで ここにいるよ
心に言えば 満たされるの?



end





Home Sweet Home ギン→乱verです。
ギン乱は神がよく光臨されることが多く、困ります(笑)。
まだ、ネタを消化しきってない…というか、熱が冷めるどころか、さらに熱くなってるので(笑)、ギン乱旋風はまだ続く模様です(笑)。
ちなみに、タイトルと詩はYUKIの曲から拝借しました。
確か、映画版NARUTOの主題歌だった曲です。
ちなみにコレ、相方に一ルキソングとして送りつけました(笑)。
でも、歌詞見てると恋ルキでもいけそうだ…
あたしの中では、一ルキでギン乱ソングになってます(笑)。
 

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