テニス始めました
□No.8
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「相変わらずだなーっと思ってな」
「あ、そ。
逆に紅蓮姉さんはいつもと違うな」
淡々と告げる若の言葉にピクリと身体が反応する。
「何言ってんだよ!
変な若だなぁ!」
強気な言葉とは裏腹に身体が微かに震える。
それに気づかれないように若から離れると、若の背中をパシパシ叩いた。
「ま、別にどうでもいいけど」
若はそこで言葉を切ると、開いていた本を閉じ俺に目を向けた。
「口で強がるくらいなら、そのわかりやすい作り笑いを止めろ」
「っ!?」
なんで…わかったんだ。
俺、これでも演技は得意なのに。
「まさか気づかないとでも?
だとしたら本物のバカだ」
目を見開く俺に若は鼻で笑った。
「何を…さっきから…」
ダメだ、声が震える。