oz始めました
□No.8
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自室に寄ってパソコンを取り、納戸へ向かう。
ここで話が進展するんだからここで佐久間に連絡を取っても問題ないだろう。
ちなみに佳主馬はお茶を飲みに台所へ行っている。
今が絶好のチャンスなんだズェーット!←
小さな机に置いて指先でキーを弾いていく。
エス、エス……さ、くま……いた。
ヘッドフォンからスピーカーに切り換えて着信ボタンをクリックする。
呼び出しコールが数回流れた後、小さな音が響いたと同時に佐久間が写った。
『なんだ紅蓮。悪いけど今電話してる場合じゃ――』
「まぁ落ち着けって」
揃えていた脚を崩して片膝を立て、その上に片腕を置く。
いつもと変わりない様子で笑う俺に呆れたのか、ため息をついた佐久間は話を聞いてくれた。
俺が健二の従兄弟で陣内家の養子だという事。
健二が警察に連れて行かれた事。
そして、健二の本アカを盗んだ奴を調べて欲しいという事。
「アイツは悪くないんだ。なのに捕まってしまった。従兄弟として黙っとける訳ねぇだろ?」
『わ、わわわわかったから! その拳を下ろしてくれ!』
満面の笑みを顔に浮かべなら片手を握りしめる。
表情を引きつらせた佐久間が焦りをあらわに両手をさ迷わせた。
『……にしても驚いたなぁ。健二が探していた従妹が紅蓮だったなんて』
佐久間の言葉に瞬いた目を伏せる。
やっぱり探してくれてたんだ。
なんか、嬉しいなぁ。
「健兄……」
微かにこぼれた声は佐久間に聞こえたようで、佐久間が優しい笑みを浮かべた。
その笑みはすぐに消え、佐久間の頬に冷や汗が伝う。
青ざめた佐久間が指差した方を向いて視線を持っていく。
そこには眉をひそめた佳主馬がいた。
佳主馬の表情は険しくて疑問に思うも曖昧に肩をすくめた。
「何やってんの」
「テレビ電話」
「そんなの見たらわかるよ」
隣にやって来た佳主馬が座れる程度の隙間を開ける。
腰を下ろした佳主馬はあきらかに不機嫌で、でもさっきの会話は聞こえていなかったようだ。
『あーと、君が佳主馬君? 実は――』
「アンタには聞いてない」
助け船を出してくれた佐久間は見事に一刀両断され大きくため息をこぼしていた。
……なんか佐久間か不憫に見えてきた。
「えーと、ケンジを乗っ取った奴の事調べてもらおうと思ってさ」
微かな反応を示した佳主馬が眼光を鋭くさせた。