テニス始めました
□No.7
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今日も1日お疲れさんっと。
教科書等をランドセルに強引に入れる。
「紅蓮、そろそろ行こう」
「あ、わり!
今日は俺、スクール休むわ」
きょとんとする周に顔の前で両手を合わせる。
「…え…なんで?」
「今夜祭りだろ?
その準備があるからな!」
ニカッと笑って答えると周は納得したように頷いた。
「あぁ…
僕も一緒に行っていいかい?」
首を傾げる周に俺は眉を下げる。
「ごめん。
毎年夏祭りは近所の幼馴染みと2人で行くんだ」
「…そっか」
「本当にごめんな」
シュンとなった周の頭を撫でた。
…可哀想だけどこれは2人の決まり事だから。
「…わかった。じゃあ、またね」
「あぁ、またな」
いつもは走らない廊下を走って行った俺は…
「…紅蓮…」
周の切ない声に気がつかなかった。