全ての始まり
□プロローグ
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ジワリと広がるのは、鮮明過ぎるほどの赤。
驚いたような表情で膝を着くのは、アンティークドールと見違うほどの美貌を持つ少女。
血のしたたる刃物を持つのは、狂気的な笑みを称える男。
ざわめくのは、道を歩いていた人達。
やがて、遠くからけたたましいサイレンが近付いて来る。
少女はやってきた警察に男が捕まるのを無情に見つめていた。
――生気の感じられないアンティークドールのように。
急所を深く抉られ、もうろうとする意識の中で少女が考えていたのは、最愛の兄の事だった。
――天から見ていた神は嘆きました。
神の愛娘ともいえる少女が自らの手違いで死んでしまったのだから。
神は殺された少女を自らの空間に招き入れました。
少女の願いを叶えるために――