全ての始まり

□終わりの始まり
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なんという事でしょう。

あ、突然某ビフォーアフターのような台詞を言ってしまってすみません。

私、刻和紅蓮(ときわぐれん)は、齢14にして通り魔に刺され、その命を絶たれてしまいました。

面倒だからこっからはタメ口で行きまーす。

さて、死んだのになんで自我があるんだ?

刺された所を確認するためにそこを見る。

そこには傷一つないまっさらな肌があるだけ。

……うん、とりあえず放置。

それ以上に気になるのはこの空間について。

上下左右が定まってないような感覚がする。

白いと思えば青くなったり緑が混じったり。

かと思えば赤だったり黄色だったり。

さまざまな色にゆっくりと変化する。まるでオーロラの中にいるみたいだ。

「ここは時空の狭間だよ」

突然聞こえた非現実的な言葉に思わず眉をひそめた。

どこのファンタジー漫画だよ。

確かに私は二次元LOVE過ぎて歌い手やレイヤーなどをする立派なヲタだ。

ああ、それは認めよう。

ヲタで何が悪い。

アニメや漫画、ボカロは誇るべき日本の文化の一つじゃないか。

でも、いくら二次元LOVEだからといって、リアルと二次元を区別していない訳じゃない。

だからこそヲタは二次元に憧れ、トリップする事を夢見る。

したがって、もっと現実的な回答を50文字以内でまとめて明日までに提出しなさい、以上。

そこまで考えて、ふと一つの疑問が脳裏に浮かんだ。

今、喋ったの誰……?

いや、あの、まさかの死神……?

おそるおそる振り返るとそこにいたのは明るく笑うイケメンだった。

「なんだ、ただのイケメンさんでしたか」なんて脱力する。

銀灰色の無造作ヘアーにブリリアントブルーのたれ目。

やわらかそうな頬からは肌のきめの細かさが伺える。

イケメンという言葉が嬉しかったのだろうか。

嬉しげに頬を染めたイケメンに思わず眉をひそめた。

いや、まぁ笑うと可愛いとは思う。

でも何故だろう。なんかイラッとした。

あれですか、ウザ可愛いってタイプですか。

いつの間にか背後を取られていた自身の失態に息をつき、気を取り直してイケメンに目を向ける。

「あの、どちら様ですか?」

「Godです! きゃっ」

イケメンの神発言ときゃっという言葉に、一瞬気まずい沈黙が流れた。
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