書物

□……どなたですか。  非日常1日目 その1
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ーとある世界でのとある国の一人の住人の物語ー


辺りも夕闇に包まれ、街灯もポツポツと光が灯り始めた頃ー。
紅に染まった一筋の残光が、少し人里離れた丘の上に、ポツンと建っている家の大きな窓の中へ入っている。

「……………。」

そこへ、一人の少女が無言で家の扉を開け、部屋の中へと入っていった。

彼女の名前は冬河 澪ー。
この家の主とも言える人物、そしてーこの物語の主人公。
パッと見れば中性的な顔立ちで、横顔では細い男のように見えるが、僅かに強い美人というイメージで、ちゃんと女だということが分かる。

扉の開いた音を聞き、出迎えてくれたのは相棒とも言える存在に等しいジョンだ。

「ただいま、ジョン」
いつものように落ち着いた声で優しくジョンの頭を撫でると、心地良さそうに目を瞑り、されるがままとなっていた。


「(他の皆は?)」

これは二人の独特のコミュニケーションの方法で、直接口には出さず、心の中で会話を行う。

ジョン「(まだ外にいるぜ。
もうすぐ帰ってくる筈だ。
…呼んでくるか?)」

澪は数秒の間考えた後、そうしてと伝え終わろうとした瞬間。


ズドン!


「「?」」

何かが落下してくる音を耳にした。


ー何が落ちてきたのか?ー


澪とジョンは顔を見合わせ、音のした方へと僅かに警戒をして向かって行った。
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