恋模様
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そして気が付けば夏休みへ突入。
と言っても相変わらず部活のため学校へ来ている私達。
今日はこれからミーティングを行うため、私は一足先にミーティングルームへ向かい鍵を開けた。
中で用意をしながらみんなを待っていると、まず部屋へ入ってきたのは桃ちゃんだった。
あれ、けどなんだろう、これから地味なミーティングが始まるにしては、なんだか目がキラキラしているような。
「葵ちゃん!」
桃ちゃんはこちらに来るなり、両腕をガバッとこちらに伸ばしてきて、なんかホントにウキウキしてるみたい。
「桃ちゃんっ、どうしたの?」
「お祭り行かない?次の休み。みんなで!」
「お祭り?」
「うん、次の休みがさ、丁度花火大会の日と被ってるの。それに合わせて神社周辺に屋台もたくさん出るじゃない?せっかくだからみんなで行きたいなーと思って……あ、もしかして誰かと行く約束してる?」
「いや…約束はしてないけど」
まだ誰の同意も得られてないのに行く気満々だな桃ちゃん。
お祭りかぁ…まったく頭になかったなぁ。
去年は確か行ってなくて、小学校の頃は、赤司君と行った記憶がちらほら。
「ね、どうかな!」
相変わらず楽しそうな桃ちゃん。
特に断る理由もないし、私は頷いた。
「うん、いいね、行こう。でもみんなって、みんなのこと?」
「うん、みんなのことだよ!」
「私は構わないし、大人数の方が楽しいかなって思うんだけど…でも、みんな来るかなぁ」
「赤司君が言えば来ると思うんだけど」
「うーん、そこが難関な気が…」
「だから葵ちゃんを一番に誘ったんだよ!」
「え?」
「葵ちゃんなら赤司君を説得できるよね!」
「え…ぇえ!?」
両手を合わせて、期待に目を輝かせる桃ちゃん。
ちょ、まさかのプレッシャーだよ!
私にそんな力ないから!
「も、桃ちゃん、悪いけどあんまり期待は…」
「あ、赤司君来た」
「!」
グッドタイミングで赤司君がミーティングルームに入ってきた。
見計らってるのかこの人。
桃ちゃんが呼びかけたことで、赤司君はどうかしたのかと首を傾げながら近づいてくる。
うーん、誘うのは構わないんだけど、その後他のみんなも誘ってくださいって頼むのがなんだか言いにくいんだよねぇ…自分でやれって言われそうで。
と、私が言うのを尻込みしていると、
「言いたいことがあるならさっさと言え葵」
と赤司君に睨まれ、桃ちゃんに肘で小突かれ、
「あー…、のさ、赤司君、みんなでお祭り行かない?次の休み」
とひとまず簡潔に言ってみると、数秒の間をあけて、
「あぁ、いいじゃないか。行こう」
とあっさり返事が返ってきたので、
「みんなにも言ってくれると助かるんだけど…」
とさらっと頼んでみたら、
「いいよ、みんなには僕から伝えておこう」
またまたあっさりと承諾され、私は思わず「え、ほんとに?」と聞き返してしまいました。