恋模様
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特に気に留めていなかったけど、実は大きな変化が生まれていたんだって、翌日になって知る。
「…え、あっくん部活こないの?」
授業が終わって、クラスのみんながバラバラと教室から出ていく中、あっくんまで帰ろうとしている様子だったから声をかけたら、まさかの返答。
「うん、行かなーい」
「なんでっ?」
意味わかんない。
帰ろうとするあっくんに詰め寄ってみるけど、あっくんは面倒くさそうに言うばかり。
「赤ちんに来なくていいって言われたしー」
「赤司君が!?え…なんで?だって…」
「峰ちんだって来なくていいって言われて来ないみたいだしー」
「でもそれ…赤司君が良くないって言ってたじゃん」
「知らないよー、赤ちんに聞いたらー?」
「あっ…」
それ以上何も聞く耳持たず、あっくんは本当に帰ってしまった。
私が困ったように黄瀬君に目を向けると、彼も難しそうに顔をしかめた。
それから黄瀬君は、昨日体育館で何があったのかを話してくれた。
大輝君が練習中に飛び出していったこととか、監督が練習に来なくていいって言ったこととか、あっくんと赤司君が1on1をして、その後赤司君の態度が豹変したって。
話を聞いた私はとても信じられなくて、すぐさま赤司君の所へ走った。
「赤司君!」
息を切らして駆け寄ってきた私に、赤司君はいつもの冷めた目で何やってんだと問いかけてくる。
「赤司君、なんであっくんに部活来なくていいなんて言ったの?」
「そのことか。最善の考えを示したまでだよ」
「練習しなくていいなんてことあるわけないじゃん!」
「勝てば問題はない」
「チームワーク悪くなったらどうすんの!?」
「今の僕らにチームプレイは必要ない」
「っ……赤司君…何言って…」
赤司君の冷めた視線なんて、浴び慣れたもの。
けど……違う。今の赤司君は全然違う。
私の知ってる赤司君じゃないみたいで、すごく怖い。
「……赤司君…なんか変だよ…」
「そう?僕は何も変わっちゃいないよ」
練習しなくていいなんて…そんなの…三軍はどうしろってのさ。
頑張っても頑張っても叶わない人たちが沢山いるのに…。
示しさえつかなくなったら、どうやってまとまって行けっていうの…?
この時はそれ以上、話をすることはできなかった。
この日から私達は、バラバラになっていく。