恋模様

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確かに一年の初めの頃は、私も少し調子に乗っていたと思う。
何度も告白されるもんだから、自分もちょっとぶりっこしてみようかななんて。
控えめなキャラ演じてみたり。
元々大人っぽい顔立ちしてるって言われるから、ぴったりでしょみたいな。

けど、その結果があの夏だ。
何がしとやかだ、バカじゃないのか私。


三学期、一年生もあと僅かとなった寒い冬。


「あ、ほら見ろよ朝比奈さんがいる。かわいー」

「あぁ、けど…」

「うん。…戻るか」

「おう」


今の私。


「はーい私おとりになりまーす」

「んじゃ俺落とし穴」

「誰か閃光弾投げて」

「ほいきたっ」

「なぁ誰かペイントボール投げようよ」

「だからマップの一番上。早く来てよねーおりゃっ」

「朝比奈ナイスアタック」


お昼休みの教室です。
私は男子三人に交じって狩りの最中です。
PSPカチカチ言わせながら、見慣れた光景。

スカートの下にジャージはいて立膝座り。
このメンバーの息の合ったプレイならG級だって苦もないさ。

もうちょいで倒せると思うんだけどなー。
ほらきたっ!パパラパーッ


「葵ちゃーん」

「?あ、桃ちゃん!」


狩猟完了!
みんなでハイタッチ。
丁度そのタイミングで、桃ちゃんが食料抱えてやってきた。


「はい、葵ちゃんご所望のチーズケーキ」

「ありがとー桃ちゃん!んじゃさっそくいただきまーす」


桃ちゃんがついでだからって買ってきてくれた八分の一サイズチーズケーキを、まず半分にして、そんで二口で完食。んまー。


「相変わらず食べるの早いねー」

「くひいっはいいひおがうこおえいはくあたわああい」

「…口いっぱいに広がるこの贅沢がたまらない?」

「うん」

「呑み込んでから喋れよ朝比奈」


男子生徒から突っ込まれるが、気にしない。
桃ちゃんとはお陰様で、前よりもっと仲良くなれました。
マネージャーになったのは渋々だったけど、これは良かったと思ってる。


ここで、まだチャイム鳴ってないのに次の授業の先生が登場。
仕方ないから早めに席に着くかって立ち上がったら、


「朝比奈、スカートの下にジャージはくのは止めなさい」


先生からつっこみ。


「えぇー。だって寒いんですよ先生」

「寒くても止めなさい」

「先生は男だからスカートの寒さを知らないんですっ」

「ごちゃごちゃ言ってないで脱ぎなさい」

「…はーい」

「そうそう、ちなみにお前、昨日のテストの解答欄が全部ずれてて3点だったぞ」

「えぇ!?」

「放課後残って追試な」

「え…放課後ですか!?勘弁してください部活が…」

「つ・い・し・だ」

「……はい」


教室中から笑われる。最悪だ。
しかもヤバい。これは由々しき事態だ。


「ドンマイ、葵ちゃん。私から赤司君に言っておこうか?」

「いや…ありがとう桃ちゃん。自分で言いに行くよ…」

 
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